2回戦・太良-東明館 試合に敗れ、帽子を取ってあいさつする太良の永尾泰憲監督=みどりの森県営球場

試合前に円陣を組み、選手たちに声をかける太良の永尾泰憲監督(左)=みどりの森県営球場

試合前の練習で笑顔を見せる太良の永尾泰憲監督(右)=みどりの森県営球場

■夢は甲子園、県境の町で歩む

 地元の熱意に打たれ、再び高校野球の指導に戻ってきた人がいる。阪神などで活躍し、コーチやスカウトを務めた元プロ野球選手の永尾泰憲さん(68)=太良町。「第100回全国高校野球選手権記念佐賀大会」で15日、太良高野球部の監督として初采配を振るった。野球の楽しさと一流の技を伝えながら、県境の町の盛り上げを後押しする。

 太良高の初戦の相手は、春の県大会覇者・東明館。永尾さんは、諦めずにプレーする選手たちをじっと見つめ、ベンチから声を掛け続けた。八回コールドで敗れたが「子どもたち自身が野球を面白がり、食らいついてくれた」と充実感をにじませた。

 2014年に元プロ野球選手でも指導者となれる資格を得て、母校・佐賀西高で3年間コーチを務めた。昨年11月に孫たちが待つ大阪へ戻るつもりだったが、太良高卒業生から野球部指導の声が掛かった。

 「子どもたちのためにも何とかしたい」。卒業生らは学校への働き掛けや、住まい探しまで手を貸してくれた。「地域と学校が一体となって頑張っている」。永尾さんは地元の熱意に心を動かされ昨年12月、妻と共に太良町に引っ越し、1月から常任コーチとして指導を始めた。

 当初は部員7人。練習にそろわない日も多かったが、授業の様子を見に行くなど、積極的にコミュニケーションを図った。徐々に打ち解け、3月以降は全員が顔を出すようになった。「野球の楽しさを伝えたい」。4月に監督に就任すると、1年生7人も加わり、より活気づいた。

 昼は町役場で働き、町ぐるみで地元の野球部を応援する。妻の京子さんも「一人で頑張るのは体調管理も大変だから、応援したい」と献身的に支える。

 初めての「夏」を終え、「勝つにはまだ厳しいが、基礎をしっかり身につければもっと戦えるチームになる」と永尾さん。甲子園への旅はまだ始まったばかりだ。

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