夏の甲子園が舞台となる全国高校野球選手権の地方大会が始まり、熱い戦いが各地で繰り広げられている。今年は大会が1915(大正4)年に産声を上げてから第100回の記念大会で、北海道、東京に加えて埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡も2代表制となり、例年より7校多い史上最多の56校が日本一を目指す。節目の年を高校野球の歴史や現状を見つめ、輝かしい次代を築くための分岐点にしたい。

 「これまでの歩みへの敬意と感謝を胸に、新たな一歩を刻む」-。佐賀大会開会式での白石高・池田龍平主将の選手宣誓の言葉だ。佐賀大会は西日本豪雨の影響で予定より3日遅れて10日に開幕。15日で2回戦が終了し、16強が出そろった。シード1校が早くも姿を消すなど激戦が続いている。

 夏の球史をたどると、佐賀県勢は第8回大会(1922年)に佐賀中が初出場。長崎と代表を争う西九州大会の時代もあり、これまで59度の全国大会出場を果たしている。通算戦績は38勝57敗(1引き分け再試合)。このうち1994年の佐賀商と2007年の佐賀北が全国制覇を果たした。長い歴史の中、全国で28都道府県しか達成していない優勝を2度経験しており、県民の誇りになっている。

 100回目の夏に合わせ、佐賀新聞では高校野球の今と未来を見つめる連載を掲載しているが、不動の人気を誇る一方、過渡期にあることも間違いないようだ。一つは少子化や野球離れによる競技人口の減少。今年の地方大会の参加校は昨年より58校少ない3781校で、第84、85回大会に過去最高の4163校を記録して以降、15年連続の減少となった。

 2012年夏に認められた部員不足の学校による連合チームは、昨年の57チーム(153校)から81チーム(212校)に増え、過去最高を記録した。この流れは佐賀も同じ。ことしの参加は一つ減って40チームで、近年は部員確保に苦心しているところも目立つ。関係者の危機感は強く、日本高野連が小学生向けに野球に親しむイベントを開くなど競技人口拡大を目指す取り組みが始まっている。

 全国大会の変化としては強豪私学の躍進がさらに顕著になっている。特待生制度などが背景にあるが、昨夏の出場校のうち公立は波佐見(長崎)など8校だけだった。この10年でみると、強豪私学の代名詞ともいえる大阪桐蔭の優勝が3回。2007年の佐賀北の全国制覇以降、日本一になった公立校はない。ただ、佐賀大会に関してはこの10年の優勝は公立が7回、私立が3回で、全国と少し違った様相も見せている。

 順調に進めば、佐賀大会決勝は25日に行われる。全国大会は参加校の増加もあり、昨年より3日早く5日に開幕するが、新たな取り組みとしてタイブレーク制が採用される。選手の健康面などを考慮し、延長十二回を終えて同点の場合、十三回からは継続打順で無死一、二塁から始める。

 西日本豪雨が甚大な被害をもたらし、3度延期された広島の地方大会は17日に開幕する。東日本大震災の後などもそうだったが、球児たちのひたむきな姿が避難生活を余儀なくされている人たちに元気と感動を与えてくれる。猛暑に負けないとびきり熱い全力プレーを期待したい。(杉原孝幸)

このエントリーをはてなブックマークに追加