大雨特別警報が発令され、対策を練る神埼市の災害対策本部。初の特別警報に市町の担当者には戸惑いもみられた=6日午後5時12分、神埼市役所

■理解不十分、メールに苦情も

 6日を中心に記録的な豪雨に見舞われた佐賀県内では、数十年に一度の規模の災害が迫っているとして気象庁が県内初となる「大雨特別警報」を発表した。県内では18市町が避難勧告や避難指示を出したが、実際に避難所に避難した住民は最も多い時点でも1%前後にとどまる市町が少なくなかった。特別警報や避難指示・勧告が住民に十分理解されているとは言い難く、どう啓発、周知するかが課題となっている。

大雨特別警報は、6日午後5時10分に発表された唐津市など17市町を皮切りに、午後7時10分までに全20市町に広がった。各市町は既に出していた避難勧告を避難指示に格上げしたり、対象地域を広げたりした。

 県によると、玄海、有田の2町を除く18市町が7日午前6時時点(速報値)で、避難指示を計15万5478人、避難勧告を計35万2701人に出していた。一方、避難所への避難者は7日同時点のピーク時で計3822人だった。

 鹿島市は市内全域に避難指示を発令したが、2万9511人のうち避難したのは270人と0・9%にとどまった。嬉野市は市内2万6509人に避難指示を発令し、避難者は約500人。特別警報を受けて、市内全域に避難指示を出した神埼市では、3万1816人のうち、避難所に足を運んだのは433人だった。このほかの市町でも避難指示、勧告の対象数に対して避難所への避難者数は少なかった。

 理由に関し「今まで大きな災害がなかったため、市民はさほど危機感を抱いていなかったのでは」(唐津市)、「親戚の家などに集まっているケースもあった」(白石町)との指摘があり、自宅の2階に移動する「垂直避難」が少なくないとの見方もあった。「避難勧告と避難指示はどう違うのかとの声もあった」(鹿島市)と周知、啓発の課題を指摘する声もあった。

 各市町は防災行政無線やケーブルテレビ、ウェブサイト、特定地域に向けたエリアメールなどで周知し、鹿島市など各世帯に設置した個別受信機で放送した自治体もあった。

 雨脚が強かったこともあったせいか、防災無線の屋外スピーカーを巡っては、武雄市、小城市、神埼市などで「聞き取れない」との問い合わせも少なくなかった。またエリアメールに関しては、隣接市町に関するメールを受信した住民から「苦情」の電話を受ける市町もあり、課題を残した。

 初の避難指示発令となった武雄市は「住民を不安にさせ、怖がらせ、焦らせてしまう情報でもある。“オオカミ少年”になってもいけないので、発令には慎重さも求められる」と指摘。また避難勧告を挟まず避難指示を発令した嬉野市は「限られた人員での情報集約や避難指示の集約は難しかった」と明かす。多くの市町で今回の大雨への対応について総括、反省するとしている。(取材班)

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