Q新幹線整備後の並行在来線は?

暫定開業後もJRが一定維持

 整備新幹線と同じ区間を走る在来線は「並行在来線」と呼ばれる。新幹線開業後のJRの経営を圧迫するとして経営分離され、第三セクターなどが運行を引き継ぐケースが少なくない。

 九州新幹線長崎ルートの場合は肥前山口―諫早間が並行在来線に該当し、鹿島市や杵島郡江北町などの沿線自治体が、利便性が損なわれるとして長年、経営分離に反対した。こうした経緯から2007年、佐賀、長崎両県とJR九州による3者合意で、経営を分離せずに一定期間はJRが運行を維持することになった。

 具体的にはJRが運行を担い、両県が鉄道施設を維持管理する「上下分離方式」を採用した。その後、国などを含めた6者合意で、2022年度の暫定開業から23年間は普通列車を現行並みに走らせることが決まった。ただ、経費を抑えるため非電化となり、少ない車両数での運行に向くディーゼル車両が走行する。

 在来線特急「かもめ」が上下約50本停車している肥前鹿島駅は暫定開業後、博多までの特急列車は3年間は上下で14本程度となり、その後は10本に減る。鹿島から長崎方面へは普通列車だけの運行になる。

Qフル規格に見直されたら? 

経営分離問題浮上する懸念も

 全線フル規格に整備方式が見直された場合、新鳥栖―武雄温泉間に新幹線区間を新設することになる。両駅間の在来線をJRが経営分離するかどうかという問題が新たに浮上しかねない。着工は沿線自治体の同意が条件になるが、特急減便などの恐れが出てくるため、新たな火種になることも予想される。

 鹿児島ルートでは部分開業時に八代―川内間が経営分離され、第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」が運行している。熊本県の関係者によると、経営難の状態だが、住民の通勤・通学などで一定の役割を担っており「やむを得ない」と話す。JRが運行する博多―新八代間は全線開業に合わせ、従来の在来線特急が快速に移行するなどした。特急が停車していた荒尾や長洲などでは博多方面への利便性が低下した。

 整備方式の見直し論議を巡っては、追加で生じかねない巨額な地元負担が注目を集めているが、沿線住民の暮らしを支える「地域の足」がどうなるか、在来線への目配りも欠かせない。

【次の記事】⇒そこが知りたい新幹線長崎ルート(9)整備状況

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