Q財源はどこから?

JRの貸付料前倒し活用

 新幹線の線路や各施設を建設し、保有するのは国土交通省の外郭団体である独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)」だ。実際に運行するJR各社は線路などの使用料として「貸付料」を開業から30年間、定額で機構に支払う。
 JRは受益の範囲内、つまり新幹線を運行することで得られる30年間の「もうけ」を年平均にして貸付料として支払う。
 新幹線建設の財源は、この貸付料収入を充てた残りの3分の2を国が、3分の1を沿線自治体が距離に応じて負担する仕組みだ。
 現在、建設中の新幹線は長崎ルートの武雄温泉-長崎など3区間だが、この負担の仕組みだけでは財源が足りない。そこで5年前から、この3区間を含め、将来に入るであろう貸付料を担保に機構が金融機関から資金調達する「先食い」で約8千億円を捻出する。ただ、建設中の3区間の財源は確保できても、今後着工する新鳥栖-武雄温泉の6千億円(全線フル規格の場合)、北陸新幹線の敦賀-新大阪の2・1兆円の財源は決まっていない。


Q佐賀県の追加負担は?

地元負担ゼロ「前例なし」

 国交省の試算によると、新鳥栖-武雄温泉をフル規格で整備した場合の事業費は約6千億円。焦点となる貸付料は開業直前にならないと確定しない。国交省は全線フルで整備した場合、JR九州が30年間で得られる利益は年平均88億円とはじいた。「機構とJRの交渉があり、単純計算はできない」(国交省関係者)というが、30年と考えると、目安として2640億円という貸付料の額が見えてくる。その場合、交付税措置後の佐賀県の実質負担は616億円になる計算だ。
 佐賀県は「全線フルかミニ新幹線かに関係なく追加負担は受け入れられない」という態度だ。しかし、国交省関係者は「交通インフラを地元負担ゼロで造った例はない。主張として激しすぎる」と話す。
 整備方式を決める与党検討委員会は、JR九州と長崎県との間で佐賀県の負担の「肩代わり」策に関して協議を始めた。長崎県に対しては両県が公平に負担すべき車両基地など約1千億円の共通経費を長崎側が多く持つ案などが検討されている。しかし、ここにきて建設中の武雄温泉-長崎の事業費が1200億円上ぶれすることが判明、両県の台所事情は一層厳しさを増している。

【次の記事】⇒そこが知りたい新幹線長崎ルート(8) 在来線の行方

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