Q整備の費用対効果は?

国試算はフル規格が優位

 九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉間の整備方式別の費用対効果は、国土交通省が3月に試算を公表した。フリーゲージトレイン(FGT)を導入した場合とミニ新幹線、フル規格を比較し、フル規格が最も効果が高いとした。

 費用対効果は利用者側のメリット(便益)や、収益をコストで割り、「1」を上回ると、事業実施に向けた目安になる。試算は、効果が見込まれる関西方面への乗り入れを前提とし、ミニ新幹線は2・6~3・1、フル規格は3・3とした。FGTは関西方面に乗り入れできないと判断したため、算出していない。

 長崎県はフル規格を推す。建設中の北陸新幹線の金沢-敦賀間や、北海道新幹線の新函館北斗-札幌間の費用対効果の1・1を上回ったことを引き合いに、フルが優位と主張している。JR九州も「最も整備効果を発揮する」との考えだ。

 国交省の試算は、便益については長崎までを含めた地域全体の数値を使う一方、コストは整備方式を見直した場合に新たに発生する新鳥栖-武雄温泉間の建設費を用い、武雄温泉-長崎間にかかる約5千億円を除いている。そのためフルもミニも比較的に高い数字が出ている側面もある。

 

Q所要時間の短縮は?

佐賀-博多、フルでも限定的

 比較結果ではフル規格が最も高い整備効果を示しているが、佐賀県の時間短縮効果は限定的といえる。

 国交省の試算では、全線フル規格の場合、武雄温泉-長崎間を含めた長崎ルートの所要時間は最速で長崎-博多間が約51分、佐賀-博多間は約20分。2022年度の暫定開業時は、武雄温泉駅で在来線の特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」が採用されるが、それに比べて長崎-博多間で約31分、佐賀-博多間で約15分短縮できるとしている。新大阪までの時間短縮幅は長崎駅からが約45分、佐賀駅からは約29分とした。

 佐賀県からの乗客は佐賀-博多間の特急の利用が多く、その区間を15分短縮するために1千億円を超える県の実質的な追加負担を受け入れるかどうかの議論になることも予想される。

 国交省の試算は整備方式別に、整備した場合とそうしなかった場合のJR九州の収支改善効果(年平均)も示している。フル規格が約88億円で最も高く、ミニ新幹線は2~9億円。FGTなら20億円の赤字で、整備新幹線の前提となる収支採算性を見込めない結果になっている。

【次の記事】⇒そこが知りたい新幹線長崎ルート(7)建設費の仕組み

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