Q.長崎ルートになぜ導入できない?

開発が遅れ、採算性にも問題

 九州新幹線長崎ルートへの導入が予定されていたフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)は、線路の幅が異なる新幹線と在来線区間を、車輪の幅を変えることで相互乗り入れができるようにする開発途上の新型車両だ。

 走行試験で車軸に摩耗が見つかったため改良を進めているが、2022年度の暫定開業には間に合わない。国土交通省によると、順調に改善できたとしても長崎ルートへの導入は27年度半ばになるとみている。

 JR九州はFGTの車両コストを問題視している。国の技術評価委員会が17年7月、一般的な新幹線の1・9~2・3倍かかる見込みを示したことを受けて試算し、年間に50億円程度の増額になるとした。収支改善効果が得られないとみて、FGTの運行は困難という立場を明確にしている。

 国土交通省は今年3月に公表したフル規格とミニ新幹線、FGTの比較検討結果で、FGTの山陽新幹線への乗り入れは「なし」という見解を示した。山陽新幹線は時速300キロでの運行が中心で、開発目標時速が270キロのFGTでは高速安定性やダイヤ編成に問題があると考えている。

Q.仮に導入されたら?

佐賀県に新たな負担の可能性も

 暫定開業後の新鳥栖-武雄温泉間の整備方式で、与党検討委員会の山本幸三委員長はFGTについて「事実上無理だ」と報道陣に述べ、議論の対象から外している。ただ、国交省は「導入がなくなることが決定したとか、最終判断をしたとかではない」と佐賀県に説明しており、従来の計画は変更には至っていない。

 一方で、仮にFGTで整備した場合、佐賀県が想定していた以上の追加負担を求められる可能性が出ている。国交省が3月に示した試算では、運行管理システムや車両基地整備などで新たに約800億円、FGT導入に伴って不足する博多駅の新幹線ホーム増設も含めれば約1400億円としている。長崎県との共通経費になり、佐賀県は約4分の1の負担が見込まれる。

 FGTには本格的に開発が始まった1997年以降、約500億円の国費が投じられてきた。無駄にはできず、開発は今後も続けられる。新幹線と在来線のいずれの線路も走れる「夢の列車」への関心自体は薄れず、私鉄で実用化を検討する動きがある。

【次の記事】⇒そこが知りたい新幹線長崎ルート(6)費用対効果

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