瀬戸さん宅の裏で崩れた石垣。チトミさんはこの土砂の下敷きになり、家族に救助された=7日午後、唐津市七山

 西日本を中心に広い範囲で大雨特別警報が発令され、各地で犠牲者が増す中、佐賀県唐津市七山では6日、家族による救助活動で助かった命があった。自宅を襲った土砂崩れで生き埋めになった瀬戸チトミさん(80)。孫ら3人が土砂や石をかき分けて救い出した。

 6日午後4時ごろ、長女のまゆみさん(58)が自宅横の車庫で、直売所に出すミョウガを袋詰めしていた時だった。裏山からごう音が響いた。車庫の裏の石垣が崩れ、土砂が敷地になだれ込んだ。「助けてえ」と母の声。土砂の下に白髪頭が見えた。うつぶせに倒れ、辛うじて首から上が土砂から出ていた。すぐ横には大きな石が転がっていた。

 夫の淳一さん(86)と孫の航希(かずき)さん(16)=唐津工高1年=は自宅から飛び出した。「ばあちゃん、ばあちゃん」。必死になって、素手で土砂をかき分けた。大きな石は航希さんが両腕に擦り傷を負いながら持ち上げた。航希さんは一度登校していたが、休校になり、唐津の親戚宅に行くかどうか迷って、自宅に戻っていた。

 5分ほどで何とか引っ張り出した。救急車を呼んだが、七山につながる国道は土砂崩れで通行止め。近くの診療所の医師や非番の救急救命士らが駆け付け、診療所にいったん運んだ。どうにか救急車が到着し、市中心部の病院に搬送されたのは午後7時ごろだった。

 チトミさんは外を見回っていたらしい。「年寄りで心配性で、石垣から出ていた水が気になっていたのかもしれません」とまゆみさん。家族は近くの避難所で一夜を過ごしたが、まゆみさんは「思い出して、一睡もできなかった」と話す。骨盤や左膝を骨折し、入院したチトミさんはこう話しているという。「(孫の)カズがいてくれたから、よかった」

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