松本智津夫死刑囚ら7人の死刑が執行された6日、佐賀県内の関係者の胸の内にさまざまな思いが広がった。地下鉄サリン事件に遭遇し国の被害者給付金を受けた佐賀市の男性(68)は執行を一つの区切りとし、「今後も絶対あってはいけない」と宗教が絡んだ集団犯罪の再発防止を求めた。司法関係者からは、死刑制度の議論を深める重要性を指摘する声も上がった。

 男性は95年3月20日朝、千葉県の自宅(当時)から東京都の会社に向かっていた。地下鉄の神谷町駅で電車が停車。車内で30分ほど待ったが再開せず、タクシーに乗り換えるため地上に出た。会社で一つ前の霞ケ関駅で惨事となっていたことを知った。「乗る電車があと1本遅れていたら…」。背筋が凍った。

 23年たった今も、教団への対応に納得がいかない点がある。教団は地下鉄事件前に弁護士一家殺害事件などを起こしており、「その時に警察が踏み込んでいれば、後の被害は防げたのでは」との疑問がぬぐえない。教団の後継団体などが今も活動する状況に「宗教団体への調査を厳しくするなど再発防止の仕組みを作ってほしい」と話す。

 県弁護士会人権擁護委員会の委員長を務める杉山林太郎弁護士は「再審請求での証拠開示が制度化されていないなど、死刑に向かうプロセスは納得を得られるものにはなっていない。死刑の存廃を含めて議論を盛り上げていくことが重要」と問題提起した。

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