土砂崩れに巻き込まれた車。乗っていた2人が搬送された=6日午後1時35分、唐津市厳木町の道の駅「厳木」

大雨の影響でトヨタ紡織九州の体育館に避難した仁比山保育園の園児と職員=6日午後0時55分ごろ、神埼市神埼町

 記録的な大雨に見舞われた佐賀県内は6日、各地で土砂崩れや冠水などの被害が相次いだ。唐津市では崩れた土砂が車を押しつぶし、列車を線路から押し出した。勢いを増す濁流、むき出しになった山肌、突然鳴り響く緊急メール。間近に迫る自然の猛威に身をすくめる人も。「この先どうするか」。降り続く雨の中、避難所に身を寄せる住民は不安を募らせた。

 「山が動いていた」。同日午後1時ごろ、唐津市の「道の駅厳木」。小城市内の工務店に勤める中村勝信さん(31)は、雷鳴のようなごう音を聞き、目を向けた休憩室の外の光景に思わず身構えた。約25メートルに渡って土砂が駐車場に流れ込み、作業車1台が下敷きになっていた。わずかに露出した運転席は大きくひしゃげていた。

 「助けて」。車内から声が聞こえた。同僚と2人でゆがんだドアをこじ開け、中から男性2人を救出した。首や腰の痛みを訴えたが、意識ははっきりしていた。

 巨大なコンクリート塊を含んだ土砂の撤去作業には、消防や警察、建設会社が協力し、約60人態勢で当たった。崩落の危険が高まると笛を吹き、そのたびに作業員は一斉に逃げた。救助の時は無我夢中だったが、「もしかしたら2次被害に遭っていたかもしれない」。鋭い笛の音が響く現場を冷静に見渡し、急に恐くなってきた。

 佐賀市富士町の男性(60)は午前5時ごろ、自宅裏からのけたたましい金属音で飛び起きた。「ガチャガチャーン」。外を見ると、土砂が納屋にのしかかっていた。辺りにはガスのにおいが漂う。「逃げろ」。1階で寝ていた母親と娘を起こし、「着の身着のまま逃げ出した」(男性)。

 「あの金属音はガードレールが壊れる音だったんじゃないか」。男性はこわばった表情で振り返る。「ガスが怖いし、帰るわけにもいかない。今夜は公民館に泊まるが、この先どうするか。とにかく、家族全員けがなく助かっただけでも…」。助かった安堵と、今後への不安が交錯する。

 神埼市神埼町の仁比山保育園は午前11時過ぎから、マイクロバス2台で園児72人を近くにあるトヨタ紡織九州の体育館に避難させた。正午過ぎに保護者たちが続々と子どもを迎えに来た。30代の母親は「園の対応が早くて助かった」。子どもの無事に胸をなで下ろした。

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