北川副地区の自主防災実践本部が開いた研修会。土のう作りなど実践的な防災訓練を行った=佐賀市

 集中豪雨や地震など大規模な自然災害が全国で頻発する中、佐賀県内では2014年度以降、自主防災組織率が8割を超える高水準で推移している。一方で「防火訓練をした」「啓発をした」など、活動実績があったのは約6割。活動実態がない「名ばかり組織」をなくそうと、県は、07年度から4年間で養成した地域防災リーダー約700人を対象に「学び直し」の講座に乗り出し、活性化へ模索を始めた。

 今月1日、佐賀市北川副地区の自主防災実践本部が土のう作りや車いすの階段昇降介助など実践的な訓練を行い、住民ら150人が参加した。こうした地域ぐるみの活動は、09年の設立以来続く。本部長を務める自治会長会の福田忠利会長(76)は「過去の災害の経験が大きい」とみる。

 04年に発生した佐賀市南部での竜巻被害。15人がけが、38棟が全半壊し、被害住宅345棟に上った。2年前の熊本地震では行政から求められる前に、住民の被害や避難状況を独自に調査。昨年の九州北部豪雨など「身近に大きな災害があることもあり、災害がなくても年3回、研修会を開く」(福田会長)という。

 ただ継続した取り組みが奏功している地域ばかりではない。県が17年度に自主防災組織の前年度の活動状況を調べたところ、活動実態があったのは62・4%。10年度にリーダー養成講座を受けた神埼市の女性は「受講はしたけれど、その後何をしたかを問われると…」。リーダーを引き受けた人から「何でそこまでせんといかんか。聞いとらん」と詰め寄られた市町担当者もいる。

 地域防災リーダー研修は3日間の日程で、災害図上演習や防災マップづくりなど基礎を学んだ。それを踏まえて、昨年度から始めた学び直し(フォローアップ)研修では、「知識の更新」「継続」に力点を置く座学の講座を組む。一度聞いただけでは知識が定着しづらく、10年ほど経過した今、高齢化も目立つ。「あとは地域で」と促されても活動を自分たちだけで組み立てるのは難しい。他地域の事例を紹介し、参考にしてもらう狙いだ。

 1日、神埼市で開かれた研修では、災害が少ないため住民意識が低く試行錯誤を続ける岡山県瀬戸内市の担当職員を招いた。こうした研修ではともすれば「突出して取り組みが多い」自治体が取り上げられるが、瀬戸内市の職員は息長く続く活動のこつを「ついでの活動」と紹介。「秋祭りなど町内会行事のついでに防災役員を紹介するなどして、地域を巻き込む。無理をしない」と肩の力を抜いた取り組み例に触れた。

 県消防防災課の津村聡係長は「防災活動という言葉から、災害後の炊き出しなどをイメージする人が多いが、大切なのは『災害前』。防災活動を通して地域力を高め、減災につながる活動を支援したい」と話す。

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