Q.ミニ新幹線、国の整備案は

2方式3パターン

 国土交通省は九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉間にミニ新幹線を導入する場合の試案として2方式3パターンを示している。

 ミニ新幹線を運行する山形新幹線は、在来線区間の上下線ともレール幅を新幹線幅(標準軌)に引き直した「複線標準軌」だ。長崎ルートで導入すると、在来線の唐津線や佐世保線が乗り入れられなくなるため、検討から外れている。

 長崎ルートではミニ新幹線と在来線の列車のどちらも走行できるように、上下線の一方だけレールを標準軌に引き直す「単線並列」方式と、上下線の両方にレールを1本ずつ足す3本レールの「複線三線軌」方式が考えられている。

 単線並列は、ミニ新幹線も在来線列車も単線での運行になり、すれ違うための信号設置や駅に待避線の追加工事が必要になる。ダイヤの制約が強く、在来線列車は現状より遅くなる「在来線をいじめる方式だ」(国土交通省関係者)。

 複線三線軌は、ミニ新幹線と在来線列車のどちらも上下線を走行でき、利便性は単線並列より優れる。

 両方式の中間案として上下線の片方を三線軌にするやり方もある。ミニ新幹線は単線運行だが、在来線は上下線どちらも走行できる。在来線への影響は軽減され、使い勝手も中間的だ。

 ちなみに全国に2カ所あるミニ新幹線のうち、秋田新幹線は山形同様、「複線標準軌」だが、一部区間だけ三線軌になっている。

 

Q.課題は  

長崎線工事、運行に影響

 現在運行している区間を工事するため、輸送客も便数も多い長崎線は工事中の影響が大きい。列車を運休してバスで代行運送する方法や、仮線を設けて列車を通常通り運行する方法もあるが、利便性や工期、建設費の面から現実的ではない。有力なのは単線の片側運行で工事する案だ。

 工事中、佐賀-新鳥栖間の所要時間は普通列車で現行の約2倍かかり、減便も伴う。工事区間はクリーク地帯が多く、橋(きょう)梁(りょう)が457カ所あり、その多くで改修や架け替えが必要になる。

 国交省の試算では、単線並列の工期は約10年で建設費は1700億円。複線三線軌の約14年、2600億円と比べると優位だ。中間案の片側三線軌は工期約10年、建設費は2100億円になる。

 加えてミニ新幹線は在来線区間で水害や踏切事故による輸送障害が発生した場合、ダイヤの乱れに直結する。高架で守られるフル規格の鹿児島ルートと比べ、長崎・佐世保線の走行キロ当たり輸送障害の発生件数は約4倍多く、新幹線の売りである安定性、定時性に影響を及ぼす。

【次の記事】⇒そこが知りたい新幹線長崎ルート(5)FGT

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