Q全線フルなら

在来線区間にも新幹線

 九州新幹線長崎ルートの整備方式の見直しを巡っては、区間全体を新幹線のレール幅で整備する「全線フル規格化」が持ち上がり、賛否が交錯している。

 新幹線と在来線の両方を走行できるフリーゲージトレイン(FGT)の導入を前提にしてきた長崎ルート。博多(福岡市)-新鳥栖駅間は鹿児島ルートを共用、新鳥栖-武雄温泉駅間は在来線を使い、武雄温泉-長崎駅(長崎市)間は2022年度の暫定開業に向け建設中のフル規格の線路を利用する計画だった。

 全線フル規格化が採用されれば、新鳥栖-武雄温泉駅間の整備方針が大きく変わる。ルートをフル規格でつなぐため、在来線区間に新幹線区間を新設し、高架やレールを新たに整備する必要が出てくるからだ。

 与党検討委員会による整備方式の協議の中で、長崎県やJR九州は「最も整備効果が大きく、地域発展につながる」として全線フル規格を要望した。一方、佐賀県は巨額の追加負担などを理由に「受け入れられない」と反発し、「県の意思や両県の合意が整備の大前提」とけん制している。

Qルートはどうなる

全く未定、国試算は旧計画

 フル規格を採用した場合の新鳥栖-武雄温泉駅間のルートは全くの未定だ。

 国土交通省は新鳥栖-武雄温泉駅間を対象に、FGT導入とフル規格、ミニ新幹線の三つの整備方式を比較検討し、与党検討委へ3月に試算を示した。このとき提示したフル規格のルートは、旧国鉄が1985年に公表し、翌86年にまとめた環境影響評価(アセスメント)報告書案から抜粋している。過去の計画は現行と異なる全線フル規格で、長崎県佐世保市の早岐を経由するルートだった。

 対象区間の整備延長は約51キロで、停車駅は新鳥栖、佐賀、武雄温泉の3カ所を想定。環境アセスメントの手続き期間は4年前後で、駅やルートに関わる詳細調査は、試算で用いたルートと大きく変わらない場合、通常の1~2年程度から大幅に短縮できるとした。工期は過去の実績を踏まえて約12年と説明し、開業は2034年度と見込んだ。

 これらは、難航が予想される用地買収や沿線自治体の同意に要する期間は考慮していない。関係者間で今後、ルートの選定や財源を巡る具体的な論議に発展するかどうかは不透明な情勢だ。

【次の記事】 ⇒そこが知りたい新幹線長崎ルート(3)ミニ新幹線

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