大雨、地震だけでなく「土砂災害発生時避難」と明示している案内板。実際には土砂災害時には対応していない=佐賀市富士町の富士公民館

 大雨による災害への対応策の一つに避難所の利用が挙げられるが、佐賀県内20市町の指定避難所計640カ所のうち、約半数にあたる310カ所が浸水や土砂崩れで被災する恐れがある。指定避難所は、災害の状況によっては開設されないケースが想定される。県は「指定避難所に行けばいいというものでもなく、その時の正確な情報でどこに避難するか適切に判断して」と注意を呼びかける。

 県が昨年9月、各市町に聞き取り調査した。県消防防災課によると、土砂災害の恐れがある区域内に避難所は58カ所ある。そのうち、建物や人命に危険が生じる恐れがある「特別警戒区域(レッドゾーン)」にあるのは、佐賀、唐津など5市町に8カ所で山間部に多い。警戒避難体制の整備を市町に義務づける「警戒区域(イエローゾーン)」には唐津、多久など5市町に20カ所、地滑りや土石流のなどの危険がある地域に30カ所がある。

 大雨による洪水の浸水想定区域では、浸水深が0・5メートル~3メートル未満の施設が127カ所。浸水深3~5メートルになる避難所は4市町に12カ所ある。

 避難所は地域の公民館や学校が指定されるケースが多く、災害種別に対応している。例えば、佐賀市三瀬の三瀬公民館は地震、大雨には対応しているが、土砂災害には対応していない。大雨や地震で土砂災害のリスクも高まるため、「状況によっては避難所として開設しない場合がある」(佐賀市消防防災課)。

 佐賀市は、代替の避難所として三瀬保健センターを利用するケースも想定している。避難所の開設情報はメールや防災行政無線で即時広報する。

 県消防防災課は「自分の身は自分で守るという意識を持ってほしい。指定避難所ではなく、近隣や自宅で安全な場所に避難することも想定することが必要」と指摘。テレビやインターネットなどで情報収集しながら個別に判断することの重要性も訴える。

「避難所」案内板に誤り 富士公民館、警戒区域指定後も

 佐賀市富士町の富士公民館が、建築物に損壊や住民の生命に危害が生ずる恐れがある「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に2016年9月に指定された後も、佐賀市が案内板に「土砂災害時避難所」と掲示していたことが2日、分かった。指定後、案内板の書き換えを失念し、誤った情報を掲示し続けていた。

 佐賀市消防防災課によると、土砂災害警戒区域内には富士公民館、三瀬公民館、三瀬小中一貫校の3カ所が指定避難所となっている。この3カ所は、大雨と地震災害に対応、土砂災害には対応していない。三瀬の2カ所は土砂災害に対応していないことを明示しているが、富士公民館は警戒区域指定後も約1年10カ月、案内板の情報を更新しなかった。佐賀新聞社の指摘で把握した。市は、富士町内の警戒区域指定時に地区ごとに住民説明会を実施。避難所に関するハザードマップも全戸配布しており、富士公民館が避難所として土砂災害に対応していないことは住民に伝えていたという。

 同課は「避難所の開設情報は災害発生時にメールや防災行政無線などで即時伝えている」とした上で、「指定後に速やかに掲示情報を修正すべきだった。すぐに応急的に書き換えたい」としている。

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