材料、製法にこだわり、独自ブランドで販売している高級包丁=多久市の吉田刃物

 多久市の吉田刃物(吉田健司社長)が、独自ブランドの高級包丁で商機を探っている。くわや鎌などの農業・園芸用刃物を中心に、相手先ブランドによる生産(OEM)で事業を拡大。鋼材の調合から鍛造、熱処理、研磨まで一貫生産で培った技術を生かし、新たな販路開拓を目指す。

 独自ブランドの高級包丁は、国内鋼材メーカー大手の日立金属による高級ステンレスを使用。硬くてさびにくく、切れ味が続くのが特長だが、硬度が高いほど欠けやすくなる欠点もあるため、独自に別の鋼材を重ねて強度を確保。肉や魚、野菜など幅広い用途で使える万能包丁も作っている。

 価格は2~3万円台。一般的な包丁に比べ2~4倍高いものの、品質重視の専門店を中心に注文が増えている。5月末から3日間、東京で開かれた国際見本市では連日、100社以上の業者がブースを訪れ、新たにカナダの刃物小売店への販売が決まった。

 多品種少量生産で、製品は農業・園芸用を中心に2千種類を超える。2017年9月期の売上高は約7億円。国内メーカーの廃業などで大手企業からの受託も増え、安定した売り上げを確保している。ただ、近年は中国など海外メーカーとの価格競争が激化。OEM主体の業態は取引先の動向に左右されるリスクもある。高品質の日本製品への関心が世界的に高まっている包丁を自社ブランドで製造・販売することで、新たな収益の柱に育てるのが目標だ。

 国内市場の縮小を見据え、ライバルの専門メーカーも輸出に力を入れている。吉田社長は「ブランドの認知と品質の向上が最大の課題」と冷静に分析しつつ、「一貫生産による、高い生産効率など強みを生かし、地道にシェアを伸ばしていきたい」と話す。

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