5月の大型連休は好転に恵まれ、県内の行楽地も多くの人出でにぎわった=吉野ケ里歴史公園

 5月の佐賀県内経済は、大型連休が好天に恵まれ、旅館やガソリンスタンドの売り上げが堅調に推移した。緩やかな景気回復を裏付ける一方で、衣料品など個人消費の盛り上がりに欠ける業種もあった。

 旅館の宿泊客数は、インバウンド(訪日外国人)需要に加えて個人のインターネット予約が押し上げて前年を上回った。原油価格の高騰で小売価格が高止まりするガソリンも行楽需要を取り込み、販売量が微増した。

 一方、大型店は前年を上回るほどは客足を伸ばせなかった。物産展や夏物衣料の売れ行きもいまひとつ。ゴルフ場の来場者数も前年割れに。さが幕末維新博はにぎわい、売店の売り上げは好調だった。

 設備投資の意欲は高く、商業施設やビル向けの据え付け家具の注文が増えた。家具組合所属企業の半数が、前年より売り上げが増えたと回答した。

 住宅着工が大幅に伸びたほか、公共工事も請負額が微増。不動産売買と印刷は横ばいだった。

■TV買い替え需要続く

商況

 ◇…大型店…◇

 売上高、来店客数ともに前年を下回った。大型連休にあまり客足を伸ばせなかった。幕末維新館に出店している売店の売り上げは好調で、イベントに人が流れたようだ。土産物などの食品、宝飾品、県内の鹿島、武雄、吉野ヶ里にあるショップは良かった。

 (小笠原浩幸・佐賀玉屋営業企画部長)

 売り上げ、客数ともに前年並み。衣類は前年の数字に届かなかった。初夏物の衣類が動いた4月の反動減とみている。品目値下げを行った食料や住居関連は、一人あたりの買い上げ点数が増え、売り上げが上がった。

 (高橋邦典・ゆめタウン佐賀支配人)

 ◇…電化製品…◇

 売り上げは前年を上回った。電子レンジや冷蔵庫などの新モデルが発売され、手頃感がある旧モデルが売れた。

 テレビの買い替え需要が続いており、有機ELや4Kテレビも好調だった。

 (池上英治・エディオン佐賀本店店長)

■インバウンド底堅く

レジャー・サービス

 ◇…旅館…◇

 前年同月を若干上回る宿泊客数だった。好調だった大型連休後、1週間は落ち込んだが、インバウンド効果などで持ち直した。夏に向け、ゆかたで街歩きを提案する旅館も増えてきた。

 (下田高嘉・嬉野温泉旅館組合理事長)

 インバウンド効果が続いており、宿泊客数は前年同月を若干上回った。団体客より個人のネット予約が目立つ。14カ国語に対応するパンフレットを旅館で活用するなどして対応。体験プログラムの強化を図る。

 (松下隆義・唐津市旅館協同組合理事長)

 ◇…ゴルフ…◇

 5月の来場者は前年を下回った。春先の予約は順調だったが、5月に入ってから伸び悩んだ。6月の予約は週末は好調だが、平日の予約をどう埋めるかが課題だ。

 (毛利雄治・九州ゴルフ連盟支配人部会佐賀県代表幹事)

運輸

 ◇…バス・タクシー…◇

 大型連休もあり利用増が期待されたが、全体的に伸びなかった。乗り合いバスの運送収入は前年同月比0・9%の微減。高速バスは旅行需要で空港線の利用者は伸びたが、天神線がマイナスで推移し、運送収入は4・3%減。貸し切りバスは団体ツアーの契約減少が続く。前月よりマイナス幅は縮小したが、運送収入は9・6%減で推移した。タクシーの運送収入は県内全域で伸びず、4・2%減だった。

 (江上康男・県バス・タクシー協会専務理事)

食料品

 ◇…茶…◇

 一番茶は5月中旬に終わった。生産量は少し減ったが、価格は平年並み。摘採期に雨が続くといった天候的なトラブルもなく、品質は良かった。二番茶は少し生産量が増え、下級品の不足感も解消し、売り上げ増が期待できる。

 (小野原栄信・県茶商工業協同組合理事長)

 ◇…製麺…◇

 気温が上がり、そうめんなど夏向け商品の動きが活発になった。スーパーなどから注文も入り始め、全体的な売り上げは前年並み。6月は「中元商戦」が始まる。個人、法人の需要が増えることを期待している。ただ、業務用小麦の仕入れ価格が値上がりしたので、その影響が心配だ。

 (古賀義治・県製粉製麺事業協同組合理事長)

紙・印刷

 ◇…印刷…◇

 5月は需要が少ない端境期。カタログやパッケージなどに大きな動きはなく、全体の売り上げは前年並みで推移した。6月は父の日、株主総会を控える。チラシ、決算資料などの受注も堅調に推移している。

 (平川直樹・県印刷工業組合理事長)

機械電気

 ◇…機械・電機…◇

 連休で稼働日が少ない中、効率的に生産性を向上させる企業が多かった。業種別では自動車関連が好調に推移。製造業に携わる技術者の高齢化が顕著で、若手を集めるために各企業が採用に向けて力を入れている。

 (中村敏郎・県工業連合会会長)

ICT

 ◇…ICT …◇

 5月は新年度が始まり、業務が落ち着く時期。前年と比較すると仕事の増減は見られず、売り上げは前年並み。企業成長のためにもAIやIoTなどに取り組み、売り上げを伸ばしていきたい。

 (森永裕之・県ソフトウェア協同組合理事)

■公共工事、住宅が好調

建設

 ◇…建設…◇

 県内の公共工事の請負金額は前年同月比0・5%増の158億9200万円、件数も同28・5%増の176件だった。県は佐賀市内で県営住宅関連工事が多く、大幅増で推移した。

 市町も小学校の耐震工事が全体を押し上げた。ただ、国は高架橋工事以外に目立った発注が少なくマイナスで推移した。

 4月の住宅着工は16・9%増の388戸だった。

 (中島博文・県建設業協会専務理事)

 ◇…不動産…◇

 5月の不動産売買は、全体的に前月比では横ばいで、前年同月比でも例年並みで推移した。地域別では、佐賀は前年比では伸びている模様。鳥栖三神は新築住宅、中古マンションなどの動きが少し悪い。唐津は中古住宅で手頃な値段に引き合いがある。伊万里・有田は宅地開発の計画が複数出てきて、需要が回復してきた。杵藤は順調に推移している。

 賃貸は2~3月のピーク時と比較すると、マンション、アパート、一戸建ての契約が大幅に減っている。

 (指山広樹・県宅地建物取引業協会地域振興委員長)

■売上高に二極化傾向

窯業土石

 ◇…陶磁器…◇

 前年比9・12%増と、4カ月ぶりにプラスに転じた。ただ、前々年の売り上げまでには届いていない。活発な営業をしているところが数字を押し上げており、売上額の二極化の傾向は今後も続きそうだ。燃料用のガスだけでなく、資材も値上がりしており、利益の確保が課題になっている。

 (百武龍太郎・県陶磁器工業協同組合専務理事)

 前年比4・42%減。中位の売り上げ層が踏ん張り、落ち込み幅を抑えられた。小口注文ではあるが、卸問屋、専門店関係の数字がまとまったところが健闘したようだ。額は大きくないが、アジア向けオリジナル商品の定着も見受けられる。焼き物には厳しい夏場を迎えるが、消費動向にあった商品作りを期待したい。

 (藤雅友・肥前陶磁器商工協同組合専務理事)

 前年比4・3%減。業務用の小口の需要や、一部の海外向けの動きが鈍かったようだ。陶器市の売り上げも伸び悩んだ。最近、韓国人観光客が増えており、インバウンドに活路を見いだせれば。4月に開業したホテルのレストランは依然好調で、集客面では倍増した。これを売り上げ増につなげていきたい。

 (原口秀夫・有田焼卸団地協同組合専務理事)

 ◇…陶土…◇

 前年比6・1%のマイナスで、減少幅はここ半年ほど同じ傾向が続いている。業界全体の動きが鈍っているのが影響しているとみられる。経費増につながる原油高騰も懸念材料だ。開催まであと2年となった東京五輪など国際的なイベントの需要に、活路を見いだしたい。前月比では3・4%減だった。

 (一ノ瀬秀治・肥前陶土工業共同組合主事)

石油

 ◇…石油…◇

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は前月より3円90銭高い151円90銭だった。中東情勢や為替の影響で原油価格が上がり、高止まりが続いている。

 4月のガソリン販売量は好天候で出かける人が多く、2・3%増。軽油は1・8%減で横ばいだった。

 (光武繁・県石油商業組合専務理事)

木製品

 ◇…家具…◇

 前年同月比で売り上げが「上がった」と答えた組合員は54%。家具の消費が冷え込む中、商業施設や法人ビルなどに据え付け家具など建築関連で数字を伸ばしているようだ。「下がった」は18%だった。

 (平田尚士・諸富家具振興協同組合理事長)

 ◇…建具…◇

 組合の資材共同購入額は、前年同月比9・8%の減だった。5月は工事が落ち着く時期。昨年度は年間を通して好調に推移したための反動減とみている。

 (石井敏明・県木工業協同組合理事長)

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