ハラスメントが疑われる県職員のLINEメッセージ

 佐賀県の40代男性職員が昨年3月、アルバイト面接に来た女性に私用携帯から連絡を取り、無料通信アプリLINE(ライン)で他課の求人情報やアドバイスを教えた後、食事に誘うなどのメッセージを送っていたことが23日、分かった。県は職員の対応を不適切と認めつつ「法令違反はなかった」として処分していない。識者らは「採用に乗じたハラスメントの典型」「便宜を図っており採用の公正性が疑われる」と指摘、現場レベルの指導にとどめた県の対応を疑問視する。

 佐賀新聞社が情報公開請求で入手した資料などによると、40代男性職員はアルバイト面接に来た女性に対し、面接室の外で「不採用の場合、他課の求人に応募するか」と尋ねた。女性は「応募したい」と応じたが、個人的な連絡先は交換しなかった。職員は、履歴書をもとに私用携帯から女性に不採用を伝えた。

 その後約3週間、職員はLINEで断続的に19回メッセージを送った。求人情報を提供し、「(他課から)連絡がありました。面接を受けるんですよね。行動力があって素敵だと思います」と送った。その後、「アドバイス」として「ヒールが高かった。私は大好きだけど」「『職員に知り合いがいます』と言ったほうがいい。ツテは断りにくいから」などと送った。

 女性が他課で採用されたことを知った後、「肉でも食べに行こうか」「独身男性を連れてきますので、食事に行きませんか。焼き肉でも」と2度誘った。女性はいずれも断った。

 4月下旬、女性の友人から県公益通報窓口に通報があった。調査で女性は、「怖い」「気持ち悪い」と感じたことを明かしている。

 県側は、求人情報の提供は女性の了承を得ており、個人情報保護法違反には当たらないと判断。ハラスメントについても「誘うまでにとどまり、面接者、被面接者の関係ではなくなっていた」と認定しなかった。

 一方、面接相手に個人的なメッセージを送ったことや、それが勤務時間中だったことも含め「外形的には個人情報の目的外使用にしか見えず、軽率で不適切」として上司が指導した。求人情報の提供は「一般に公開されており、採用の公正性は変わらない」としつつ、特定の面接者に接触することは「状況にもよるが、誤解を生むため好ましくない」としている。

 佐賀大学ジェンダー・イクオリティ研究所の吉住磨子教授は「採用活動でのパワハラ、セクハラの典型例。県庁の情報やアドバイスを提供する職員と、県庁で働こうとする女性との力関係は対等ではない。ヒールの高さなど、能力と無関係の部分を評価するのも女性軽視」と指摘する。

 福島和代弁護士は「個別に便宜を図っており、採用の公正さも疑わせる。職員は他課とのつながりを示しており、女性の立場を考えれば、LINEもむげに断れない。再発防止のため全庁的に注意喚起すべき」と県の対応を疑問視する。

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