佐賀市の佐賀大学鍋島キャンパスで5月26・27日、「エイズを知ろう、エイズで学ぼう」をテーマに、エイズや性教育、LGBT(性的マイノリティー)などについて11の講演会や交流会が開かれた。第4回AIDS文化フォーラムin佐賀のイベントで、その中からトークセッションと講演会、スペシャルゲスト吉沢明歩さんのインタビューを詳報する。

【登壇者】
・吉沢明歩(セクシー女優)
・青木洋介(佐賀大学医学部附属病院 感染制御部)
・高濱宗一郎(九州医療センター 免疫感染症内科)
・古川潤哉(浄土真宗本願寺派僧侶 浄誓寺・伊万里)

 

感染拡大、どう防ぐかが課題 コンドームの売り上げが低い佐賀県 

吉沢明歩さん

■エイズとHIVの基礎知識

高濱 いかに向き合い理解し感染拡大をどう防ぐかが課題。佐賀には5カ所の保健所があり、無料かつ匿名で検査できる。早期に感染が分かれば外来と服薬で治療できるが、発症した後では入院治療が1カ月は続く。怖い病気ではないので、安心して検査に行って。
吉沢 検査は5分くらいで終わるが、行く人が少ない。仕事上、月に1回は検査している。
高濱 学校で小学校高学年からでも検査の必要性を教えてほしい。感染者は10代後半の高校生から80代まで幅広い。

古川潤哉さん

青木 新聞やテレビなど、メディアによる周知も効果的。

■男女関係なく身を守る
古川 数年前、佐賀県はコンドームの売り上げ数が異常に低いと聞いた。コンドームを買うお金をけちるようなパートナーと付き合ってはいけないし、女性も身を守るために準備して使ってほしい。
吉沢 コンドームは男女関係なく、誰でも持つ世の中にならないといけない。化粧ポーチに入っていても不自然でない、かわいいデザインの製品があっても良い。

■HIVに感染したら
青木 エイズ発症やHIV感染急性期(感染から3~4週

高濱宗一郎さん

間で、下痢などインフルエンザに似た症状が出る)に分かる人と自分で検査を受けて分かる人は、佐賀では半々。ウイルスを抑えるには1日1錠、同じ時間に薬を服用する必要があり、これは想像ほど簡単ではない。
高濱 近年ウイルスの強毒化もあり、約5年で何らかのエイズの症状が出てくる。薬の飲み忘れが続くと、薬が効かないウイルスが体の中に増える。
古川 感染を周囲に打ち明けられない苦しさもある。「一緒に勉強していくから、何か困ったことがあったら言ってね」と言える世の中を目指したい。
吉沢 偏見をなくすには、正しい知識をみんなで共有していくことが大事。若い頃から教えていけば、考え方が変わ

青木洋介さん

る部分もあると思う。

■フォーラムを通じて
古川 色んな立場や色んなセクシュアリティーがある。みんなで共に精いっぱい生きていく、共生という形にしていきたい。
青木 みんなが関係ある問題だから、自分のリスクをしっかり考えて。人ごとでなく、自分を見つめることが大事。
高濱 検査に行ってくれる人が増えたらと思う。こういう場を設けてもらえるなんて、佐賀はすごい。
吉沢 学祭で話す機会をもらえたのはありがたい。コンドームはぜひ使ってほしい。相手を傷つけないことが一番の愛情であり、マナーだと思う。

 

吉沢明歩さんインタビュー 性の問題ふたをしないで

 メインステージでのトークイベントは、スペシャルゲストの吉沢明歩さんが登壇。吉沢さんに同フォーラムや性教育への思い、佐賀の印象を聞いた。
 

吉沢明歩さん

―同フォーラムへの思いは。
 若い人にAIDSなど性感染症について知ってもらう活動は、とても意義があることだと思う。

―性教育についてどう考えるか。
 個人で心の成長速度は違うので、一律に早すぎる遅すぎると語るのは難しい。とはいえ、性交渉を持つ可能性で時期を計ったのでは遅すぎる。性に興味を持つ年齢であれば、正しい知識を伝えるべき。
 学校での性教育も重要だが、家庭でも性の問題を話し合えるような環境づくりや家族のコミュニケーションが必要。何より、性に関する事にふたをしないことが大事だと思う。
 ヨーロッパには、恋人ができると一緒に性感染症の検査に行く国があると聞く。日本はそういう国に比べると、意識が低いと感じることもある。

―佐賀の印象は。
 初めて佐賀に来たのは2007年、夏の甲子園で佐賀北高が優勝した年。空港に優勝を祝う横断幕があったことを覚えている。自然が多く、からっと晴れているイメージ。
 佐賀ではいつも仕事ばかりで、まだ観光したことはない。以前、嬉野紅茶をいただいて飲んでいたので、温泉も有名だという嬉野に興味がある。七ツ釜(唐津市)も景勝地だと聞いているので、いつか行ってみたい場所のひとつ。

 

多様性認め、生き方に自信を PHL尼寺那佳子さん、筒井八恵さん

「働く女性へのアプローチ」で、講師の尼寺那佳子さん(左)のアドバイスを受けながら、参加者同士で自己紹介し良いところを褒め合った=佐賀大鍋島キャンパス

●働く女性へのアプローチ 

 働く女性のセルフケアを推進する団体Productiveandhealthylife(PHL)の尼寺那佳子さんと筒井八恵さんが登壇。団体のセミナーで実施している互いに褒め合うワークショップ「ほめほめタイム」の実践などを通して、多様性を認め自分の生き方に自信を持つ必要性を訴えた。
 二人は佐賀大学在学中、性教育に取り組むサークルLA部(らぶ)に所属。卒業後は助産師として勤務した。現在尼寺さんは精神科に特化した訪問看護師、筒井さんは新卒採用コンサルタントとして働いている。
 助産師の経験などから、性行動と精神医療の密接な関係を実感したという二人。働く女性の中には食生活の偏りや子宮系の疾患などの問題を抱えている女性が多く、仕事に追われて健康への意識が低くなりがちなことも知った。
 そこで、感情コントロールや精神安定のためのストレスマネジメントを推進する団体を設立。都内を中心に、女性の心と体を守るセミナーやヨガ講習などを開いている。筒井さんは「自分を大事にすることで他人も大事にできる」と話し、自尊心を保つことが性感染症などの予防にもつながると説いた。
 「ほめほめタイム」は初対面の二人組で3分間ずつ自己紹介をした後、制限時間1分間で相手を褒める。普段の生活で、面と向かって1分間褒められ続ける体験はあまりない。参加者らは笑顔で向かい合い自己紹介をして、はにかみながら褒め言葉を受け取った。
 参加した看護師の中島明穂さん(23)=大川市=は「参加者に医療関係者が多く、仕事に関わる話も聞けた。なりたい自分像が見えてきた気がする」と笑顔を見せていた。

 

 

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