「蔟(まぶし)」と呼ばれる仕切られた小部屋に並ぶ蚕の繭=佐賀市川副町の村上ふみ子さん宅

 佐賀県内で珍しくなった養蚕が佐賀市川副町で行われている。「有明木綿」代表の村上ふみ子さんは絹製品を作るため、蚕600頭を譲り受けて育てている。

 自宅の作業場には蚕が住まう「蔟(まぶし)」と呼ばれる道具を据えている。桑の葉を食べた蚕は20日ほどで糸を吐く。マンションの小部屋のように仕切られた空間には、蚕が紡いだ純白の繭が並ぶ。これらは絹のスカーフに使う生糸や、繭の成分の一つ「セリシン」を配合したせっけんやクリームの原料になる。

 明治から昭和初期にかけて日本の主要産業でもあった養蚕業は安価な輸入品の増加や、担い手の高齢化に伴う廃業で衰退し、繭から糸を取る光景は身近にはない。村上さんは「昔ながらの自然素材を使った製品をたくさんの人に使ってもらい、養蚕が再び地場産業になれば」と話す。

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