有明海の干潟でユニークな競技を繰り広げる「第34回鹿島ガタリンピック」が5月27日、鹿島市の七浦海浜スポーツ公園で開催された。国内外から約1300人が出場。参加者は全身泥まみれになりながらも、普段できない体験に笑顔があふれた。

ガタリンピックに出場した佐賀大留学生メンバー。出走順で明暗が分かれた



 競技は全7種目。10人の女性が潟に浮かせた土俵で相撲をとる「HAKKEYOI」。取り組み前には「頑張りましょうね」と談笑していた出場者だったが、いざ競技が始まるとその姿は一変。押し合いへし合い、火花散る展開に。数々の猛者を押し出して優勝した女性は、高々と拳を上げた。
 板に腹ばいになって干潟を進む「人間むつごろう」の親子部門では、お父さんと一緒に参加した2歳の男の子が泥の洗礼を浴び号泣。競技後には干潟をにらみつけ再戦を誓った。
 楽しい大会の裏には多くのボランティアの支えがあった。中でも鹿島西部中の生徒ら52人は、参加者が使用したドロドロの足袋を次々に洗った。笑顔で受け取り手洗いする姿には、頭が下がる。参加したのは野球部、サッカー部、バレー部の1年生が中心。毎年参加し、運営をサポートしている。
 会場に併設されている「道の駅鹿島」ではPR大使・ひのひかり智さんとメタルラックが、鹿島産タマネギの詰め放題を100円で販売。県外出身の親子などに鹿島の魅力をPRした。

「泥」で日本文化堪能

競技前に「わくわくする!」と興奮した様子を見せる佐賀大留学生メンバー

 国際色豊かなことが特徴的な「ガタリンピック」。30年以上に渡り佐賀の地に根付くビッグイベントだ。海外から佐賀大に留学している若者たちも積極的に日本のことを学ぼうと競技に挑み、鹿島市でのホームステイにも挑戦した。干潟をきっかけに生まれる国際交流。記者も慣れない英語で参加者の声を聞いた。 
 インドネシアから春に来日したパメラさんは、ステイ先でたっぷりの野菜や豆腐が入った鍋を振る舞ってもらったという。うどんやおにぎりもあって「初めて食べた料理で本当においしかった。とても親切でホスピタリティがあって感動した」と笑顔を見せる。
 佐賀大学で土木工学を学び、チームインドネシアでTheGatalympicに出場したリンタンさん(21)は「結果はドベだったけど、ただただ楽しかった。汚れなんて全く気にならない」と表情をほころばせた。
 台湾から留学しているチェン・シーファンさん(22)は汚れに抵抗があったが足を踏み入れてみると「滑らかで気持ちいい。ガタリンピックのような競技は台湾にはなくてエキサイト!(面白かった)。佐賀の人は何事にも一生懸命で好き」と語った。

 

競技に泣き、笑い

鹿島市と友好都市協定を結ぶ千葉県香取市から訪れ、ガタリンピックに出場した児童たち

 ガタリンピックには、鹿島市と姉妹都市の千葉県香取市から児童8人が参戦した。子どもたちは事前に鹿島市について調べ、作文を書いたという。各校で秀作に選ばれた児童が大会の出場権を獲得した。干潟に敷いた幅60センチ、25メートルの板の上を自転車で走り抜ける「ガタチャリ」では5年生の内山月星さん(11)が子どもの部で優勝し「自転車に乗るのが好きで前に進むと意識した。また参加したい」と意欲を語った。平島圭祐君(10)は小学校対抗レースを振り返り「楽しかった。本当にいい思い出」と笑顔を見せた。
 大人も本気になる。福岡市から参加した田中伸二さん(52)は念願を果たし「ガタチャリ」に参戦。多くの参加者が脱輪して干潟へ落ちる中、颯爽と渡りきった。「この歳で泥まみれになれるとは」と楽しんだ様子だった。
 大会は試練にもなった。ガタスキーに乗り25メートル競争する「人間むつごろう」に親子で参加した堂原寿人さんと晴翔ちゃん(2)。晴翔ちゃんはガタスキーが怖くて途中で泣き出してしまった。競技後に干潟を見つめるまなざしはリベンジを見据えていた。

福岡市から初参加の田中伸二さん。ガタチャリに出場し、最後には全身泥だらけ
「親子で仲良く泥だらけ」人間むつごろうに親子で参加した堂原寿人さんと晴翔ちゃん

 

 

 

ガタリンピックで人生学ぶ

 新人記者の「登竜門」であるガタリンピック。まだ人生の“泥沼”を知らない初々しい3人が初挑戦した。
 勝ち残りを懸けて、女性同士10人が潟上のリングで相手を押し合う「HAKKEYOI」に参加した。競技が始まったとたん、一気に選手がリングから押し出されて潟に落ちる光景に恐ろしさを感じた。体験してみて「あと一息で勝てそうだったので悔しい」

 ガタスキーに挑戦。水泳を6年間習っていたので楽勝だと思ったが、スタートダッシュに失敗。焦りに焦って、とにかく胸を張って後ろに体重をかけるように心掛けると少しずつ加速し、5位でフィニッシュした。顔についた泥もレースの勲章だと思うとうれしくなった。

 体力自慢の猛者が集う「25メートル自由ガタ」に参戦。学生時代に野球部で鍛えた足腰でひそかに表彰台を狙ったが、筋骨隆々な消防士や自衛隊を前にあえなく惨敗した。さらにゴール後、顔が汚れていない大失態。名誉挽回のため、自らの手で泥をすくって顔に塗りたくり、先輩カメラマンにアピールした。

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