玄海原発の使用済み燃料プール。このままいけば5~7年で貯蔵容量に到達する見通しという=2月19日、玄海原発燃料取扱建屋内

 玄海原発4号機(東松浦郡玄海町)が約6年半ぶりに動き出した。国の提唱する核燃料サイクルは未完成で、玄海原発も対策を講じなければ5~7年で使用済み燃料貯蔵プールの容量を超える見込みだ。九州電力は燃料の間隔を詰めて保管スペースを増やす「リラッキング」や、特殊な金属容器「キャスク」に入れて空冷する乾式貯蔵施設建設の検討を本格化させる。

 玄海原発は2015年8月を最後に、青森県六ケ所村の再処理工場への搬出が途絶えた。度重なる完成延期で再処理が始まらず、受け入れ用の貯蔵プールが満杯状態のためだ。完成目標は当初1997年としていたが、現在は2021年度上半期となっている。

 玄海原発では今後、13カ月に1度の定期検査のたびに1基あたり約70体ずつ使用済み燃料が発生することになる。使用済み燃料は3月末時点で2063体で、貯蔵容量3278体に対し6割を超える。3号機は約7年、1、2号機とプールを共用する4号機は約5年で容量を超える見込みだ。

 リラッキングは貯蔵プールの大きさは変えず、燃料の間隔を狭めてより多く貯蔵する工事で、九電は3号機プールの容量を1050体から2084体に増やす考え。すでに廃炉が決まっている福島第1や、再稼働している九電の川内(鹿児島県)など全国の原発で福島の事故前に認められ、実施されている。

 玄海3号機は10年2月にリラッキングに伴う原子炉設置変更許可申請をしており、山元春義取締役は今年3月の県議会原子力安全・防災対策等特別委員会で「合格書をもらう段階だった」と当時の状況を明かした。しかし、福島第1原発事故後に審査は凍結され、棚上げとなっている。再び申請となれば新規制基準下では初めてとなる。

 乾式貯蔵は核燃料を頑丈な金属容器に入れて空気冷却する仕組み。海外でも実績があるほか、福島第1や東海第2でも用いられている。ただ、キャスクに入れる前に「15年~20年ほど十分に冷やす必要があり、プールと乾式を併用せざるを得ない」(山元取締役)ため、九電としては同時申請を見据えている。

 元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏はリラッキングについて、「容器にホウ素を加えて中性子を吸収させるといっても燃料の距離を詰めることが危険なのは変わりない」と指摘。乾式貯蔵は一定評価しつつ、「根本的な解決にはならずその場しのぎ。再稼働を急ぐのではなく、使用済み燃料の対策を真剣に考えるべき」と増え続ける“核のごみ”に警鐘を鳴らす。

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