相談会の参加者と談笑する松本雅彦さん(左)と隼さん=唐津市肥前町の肥前公民館

 「レール」を外れる選択肢もある。唐津市肥前町出身の松本雅彦さん(47)=福岡市=が毎月第3日曜日、同町の公民館で、不登校の子を持つ親の相談会を開いている。「恥ずかしいことじゃない。学校に行かなくても大丈夫」。不登校だった息子を持つ親として、悩みに寄り添い受け止める。

 長男の隼(しゅん)さん(18)を、子どものころからボーイスカウトや塾に通わせてきた。「体育会系を経験した方がいい」と、サッカーチームにも入るよう勧めた。「半ば強制だったかもしれない。本人が嫌と言える雰囲気はなかった」と振り返る。

 進学した福岡市内の中学が荒れていたこともあり、「ストレスをため込んでいった」と隼さん。1年時の7月、生徒集会の時に心臓が痛くなり早退した。その日を境に、学校に行けなくなった。

 家では毎朝が戦いだった。学校に行く行かないの問答が始まり、嫌がる息子を無理やり布団から引きずり出したこともある。隼さんは「行けない理由が分からず、不登校だと認めたくなかった」と話し、雅彦さんも「親として接し方を間違えたのか」と悩んだ。「だめな親だと思われる」との不安から、誰にも打ち明けられない日々が続いた。

 わらをもつかむ思いで、不登校の子を持つ親を支援する福岡市内の団体に相談に訪れた。何度か通う中で、不登校経験がある大学生と話をする機会があった。堂々とした話しぶりに衝撃を受けた。「不登校=落後者」の先入観が打ち砕かれ、「学校に行かなければならない」という呪縛を乗り越えるきっかけになった。

 「行ってほしい気持ちはあったが、前に出さなくなった」。以前より怒ることが減った。隼さんも「急に優しくなって気持ち悪いくらいだった」と笑う。自室にこもりがちだった隼さんが、リビングでくつろぐようになった。

 「不登校で同じ悩みを持つ人の駆け込み寺のような場をつくれたら」。隼さんが不登校になって2年半がたった2015年、勤めていたIT会社を辞めて福岡市でカフェを開いた。カウンセリングの勉強もした。店で不登校に悩む親の相談に乗る。アルバイトには不登校経験がある若者を雇う。

 今年1月から、唐津でも相談会を開いている。5月下旬にあった会では、親子でこれまでの体験を語った。「学校の印象ってどんな感じだったの」「刑務所かな」。冗談を交えながら話す2人につられ、会場には笑いが起きる場面もあった。話を聞いた不登校の息子を持つ市内の40代女性は「先が見えず不安だったが、話を聞いて楽になった。息子を受け入れたいと思う」。穏やかに話した。

 「その子にとって何が一番なのかを考えてほしい。不登校は悪いことじゃない」。言葉はもちろん、語る2人の笑顔が相談者を勇気づけている。

 問い合わせは松本さん、電話090(3011)9619

 ひたむきに、前向きに生きている人たちがいます。そんな佐賀県内の人たちや県出身者にエールを送る企画です。

このエントリーをはてなブックマークに追加