「純国産の技術で国際貢献したい」と話す佐賀大学海洋エネルギー研究センターの池上康之教授=佐賀市

 佐賀大学などの研究グループは2019年4月から、マレーシアに設置する海洋温度差発電(OTEC)の新たな研究を始める。海水の淡水化と、海洋温度差発電を同時に行う世界初のシステム開発を手掛ける。

 OTECは、太陽の熱で温められている表層の海水と、温度がほぼ一定の水深数百メートルの深層の海水の温度差を利用して発電する。沸点が低いアンモニアなどを使い、表層の海水で蒸発させてタービンを回し、深層の海水で元の状態(液体)に戻す。今回手掛ける新たなシステムでは、蒸発器内に送っていた表層の海水の代わりに、低圧力下で海水を沸騰させた水蒸気を送る。蒸発させた表層の海水は冷却して淡水として利用する。

 このハイブリッド式システムでは、アンモニアを蒸発させたり液体化させたりする熱交換器に海水を直接通水させないため、現在使っている高価なチタンに代わり、ステンレス鋼材など使うことができる。コストダウン、設備の長寿命化が見込める。

 科学技術振興機構の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムの事業に採択された。研究期間は5年間で、同機構などが最大4億7千万円程度を負担する。

 日本国内で実験機(3キロワット)の開発を2年がかりで進め、3年目にマレーシアに設置する予定。マレーシア工科大学は、これをベースに出力1万キロワットの商用機の開発を目指すという。

 佐賀大学海洋エネルギー研究センターの池上康之教授は「マレーシアは国内だけでなく、周辺国も高い潜在能力があり、グリーンインフラ輸出の核になり得る。これまで積み上げてきた純国産の技術で国際貢献していきたい」と話す。

 日本国内では、佐賀大などの協力で建設された海洋温度差発電システムの実証機が2013年に沖縄県の久米島で稼働した。現在の出力は100キロワット。沖縄電力に商用電力として系統連系し、5年間の連続運転に成功している。

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