筋力アップのトレーニングに励む佐賀商の選手たち=佐賀市のベースボールアスリート

 近年の高校野球は「パワー野球」とも呼ばれる。筋骨隆々の体格をしたプロ顔負けの選手もおり、昨夏の甲子園では史上最多となる68本の本塁打が生まれた。完全に追い付くことは難しいとしても、体づくりに努めなければパワーあふれる強豪校に立ち向かえない現実がある。

 夏の甲子園に県内最多15回の出場を誇る佐賀商は週2回、学校近くのジムで器具を使った筋力アップに励んでいる。バランスボールやマットを使って体幹や平衡感覚も鍛えており、入学したばかりの1年生に比べて上級生の胸回りの大きさが目を引く。

 きっかけは2008年の甲子園だった。指導者として初めて聖地に立った森田剛史監督(46)は全国の強豪校との体格差を目の当たりにし、「これでは勝てない」と痛感。甲子園から帰ると、体づくりのメニューを練習に増やし始めた。

 選手たちが通うジム「ベースボールアスリート」の坂下幹夫理事長(46)は「体重があるほど投げるスピードも打撃の飛距離も上がる。基礎体力があって技術が身に付く」と言い切る。時折アドバイスをしながら選手たちを見守っている。

 高校野球では、投手中心の堅守で流れをつくり、打撃につなげるのが勝利への王道とされてきた。その基本に変わりはないが、打撃力が大きくアップする夏の大会では、重量打線を誇る強豪校が技巧派投手を力でねじ伏せる場面も目立つ。

 体づくりの基本は食事にあり、栄養管理を徹底させるための「食トレ」に部全体で取り組んでいるところも多い。佐賀西はスマートフォンのアプリを活用し、部員たちの食事の総カロリーや栄養素などを確認。選手の体重なども踏まえ、個々に最適な食事メニューをアドバイスしている。

 各選手が3年間地道にトレーニングを重ね、森田監督は「今なら体は引けをとらない」と話す。NHK杯で4番を担った3年の山﨑陸右翼手は、入学当時68キロだった体重が5キロ増え、ベンチプレスでは85キロのバーベルを持ち上げられるようになった。「スイングのスピードが上がり、三振が少なくなった」と体づくりの効果を語る。

 メモ

 パワーの時代の到来は、夏の甲子園の通算本塁打の変遷を見ても明らかだ。佐賀商が優勝した1994年は18本で、佐賀北が制覇した07年は24本。それが昨夏は68本まで増えた。選手の筋力アップのほか、打撃マシン導入による打ち込みの効果や、金属バットの性能向上を理由に挙げる声もある。

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