三井住友カードの本屋敷賢治氏

野村総合研究所の藤野直明氏

 佐賀県高度情報化推進協議会のICT利活用講演会が5月29日、佐賀市であり、三井住友カードの本屋敷賢治氏と、野村総合研究所の藤野直明氏が地域経済の活性化に向け、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス社会の実現と製造業へのIT導入の意義について語った。

 2015年の世界銀行の調査によると、買い物をクレジットカードなどで済ませるキャッシュレス比率は韓国で約9割、中国は6割に上る。日本は2割と先進国の中でも低いという。

 本屋敷氏は、クレジットカードは利用者情報や使用状況が分かるため「優良顧客の情報を集めやすい。また、どの商品が売れるのか分析しやすくなる」と説明。キャッシュレス社会は労働人口減少対策以外に、インバウンド効果を見込み、現金が足りない買い物客の機会損失の防止や店の利益につながるとし、「佐賀はキャッシュレスの先進県。電子決済の普及活動が広まっているようだ。キャッシュレスが地域経済の活性化につながれば」と期待した。

 藤野氏は、第4次産業革命の流れを踏まえ、中小製造業の生産や品質管理工程にITを導入する重要性を説いた。人手不足などを背景に、地域の製造業で事業承継や合併・買収(M&A)が進む。優れた技術を持つ企業でも、技術継承には時間を要し、技術者が退職する場合は品質の維持が困難になることも考えられ、事業力の持続性を踏まえて合併・買収が立ちゆかなくなることも多いという。

 藤野氏は製造・管理現場の機械化で品質を保つことを勧め、「ERP(製造業基幹システム)やIoT、人工知能などの導入費用は高く見られがちだが、4、5年前に比べると1000分の1になった」と話した。さらにITを導入するにあたり、企業側の利便性の体感が大切とし、「導入に向けたトレーニングセンターの県内設置を進めるべき」と提案した。

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