樽を載せたリヤカーを引き、威勢よく酒蔵を出発する天山酒造の社員=小城市小城町

 小城市小城町の天山酒造(七田謙介社長)は今季の酒造りを終え、6日に伝統の「甑(こしき)倒し」を行った。杜(と)氏(うじ)ら8人が樽を載せたリヤカーを引いて清水川上流の清水観音に参拝。約4キロの道中、無事に仕込みを終えた感謝を込めて、沿道の人たちに新酒を振る舞った。

 甑は酒米を蒸すおけのことで、仕込みが終わると横に倒して片付けることから名付けられた。昨秋から酒造りに打ち込んできた杜氏たちにとって、ようやく一息つける節目の行事で、同社は1875(明治8)年の創業時から続けている。

 今季は酒米の出来が良く、冬も冷え込んで酒造りに適した気候が続いたため、杜氏の後藤潤さん(52)は「しっかりと味がのり、心地よい酸味も出せた」と太鼓判を押す。純米酒や大吟醸酒の需要が伸びており、1升瓶換算で昨季を2万本上回る26万本の出荷を見込む。

 杜氏たちは法被に足袋を履き、全社員に見守られながら威勢よく酒蔵を出発。同社の酒米を長年生産していたという80代の男性は新酒を口にし、「天山(酒造)の酒はやっぱりうまか」と話した。

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