ガソリン価格の値上がりを受けて山間部のスタンドでは160円台の看板を掲げる店舗もある=佐賀県内(5月31日撮影)

 ガソリン価格が上昇している。中東情勢が不安定で、産油国からの原油輸出が減るとの観測が強まったことが要因で、佐賀県内の平均小売価格(1リットル当たり、5月28日時点)は156円10銭で、2014年12月以来の高値。経済界に影響が広がり始めている。

 ■ガソリンスタンド

 佐賀市中心部のセルフ式スタンドでは5月に入ってから毎週、販売価格を値上げし、5月末時点で154円。経営者は「仕入れ値が上がり、価格転嫁を進めてきたが、消費者に受け入れてもらえるか不安」と話す。市街地はスタンド数も多く、価格競争があるため150円台で推移しているが、ガソリンスタンド過疎地と呼ばれる山間部になると160円台も。小型バイクの給油に来た50代の男性会社員(鳥栖市)は「家計の大きな負担になる。これ以上の値上げは困る」と話した。

 ■漁業

 イカの産地として知られる唐津市呼子町も重油高騰の直撃を受けている。佐賀玄海漁協の立野弘幸専務理事は「イカは夜間に集魚灯を照らして釣るので、一晩中エンジンを回さないといけない。漁場に行くだけでなく、そっちが油を使うのに…」。これから漁の最盛期を迎えるだけに、「この時期に上がるのは痛いし、厳しい」と頭を悩ませる。

 ■クリーニング

 クリーニング店では衣類乾燥などに使う重油の値上がりに加え、洗剤や衣服の包袋、ハンガーなど多くの石油化学製品を使っており、全体的な資材の値上がりに頭を抱える。

 明治屋クリーニング(佐賀市)は、石油の価格高騰を理由に今年初めに価格を変更した。大石千力専務は「企業努力で済ませたいが、資材が1円高くなるだけでも利益確保が難しい。価格の見直しを検討せざえるを得ない」。

 ■運輸

 ミヤハラ物流(神埼郡吉野ヶ里町)の宮原章彦社長は「ドライバー不足解消のため、業界を挙げて賃上げを呼び掛けている最中。そのムードに水を差すことにならないか」と懸念する。

 宮原社長は、佐賀県トラック協会の青年部会長も務める。賃上げを踏まえた運賃の適正化をこれまでも求めてきたが「立場が弱い小規模企業は、運賃値上げを取引先になかなか言えない。このまま燃料費高騰が続けば利益はさらに圧迫される。飛行機の燃油サーチャージのように値上がり分を転嫁できればいいのだが」と厳しい実情を語った。

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