佐賀市久保泉町川久保の残土置き場の土中から山口県下関市の男女2人の遺体が見つかった事件で、殺人などの罪に問われた於保照義被告(68)の裁判員裁判初公判が4日、佐賀地裁で開かれる。状況証拠の積み上げによる立証を試みる検察側に対し、被告側は起訴内容について争う姿勢を示すとみられる。

 於保被告は2015年10月に殺人罪で起訴。裁判期日が決まるまで約2年半も費やした。争点を絞り込む公判前整理手続きを経たにもかかわらず、公判は8月6日の判決言い渡しまで計17回を予定するなど異例の長さになっており、激しい攻防も予想される。証人尋問は公判の3回目から15回目まで続く予定で、証人の数は「多数」(関係者)に上る見通し。

 弁護側は弁護士4人態勢で公判に臨むとし、取材に対し「公判前に事件について話すことはない」としている。

 起訴状によると、於保被告は14年8月15日、残土置き場で、在日韓国人で下関市長崎町の会社経営羅時燦(ラジサン)さん=当時(76)=と知人の同市新地西町、無職松代智恵さん=同(48)=を深さ約5メートルの穴に落とすなどして窒息死させたとしている。

 於保被告が逮捕段階から黙秘する中、検察は殺害の日時や場所、方法を、穴を埋めるのに用いられた重機を手がかりに特定。搭載された衛星利用測位システム(GPS)のデータから稼働状況を割り出した。

 捜査関係者などによると、於保被告は羅さんと仕事上の知人で、数千万円の借金があったという。羅さんらが債権督促のために於保被告を訪れる前、於保被告は会社の従業員に重機で穴を掘るよう指示しており、掘削した場所から2人の遺体と乗っていた車が見つかっている。単独での犯行とみているが、犯行現場まで2人の被害者をどう誘導し、一人でどう穴に落としたのかなどが明らかにされておらず、検察の立証が注目される。

このエントリーをはてなブックマークに追加