日本酒の原料となる酒米の品質向上に向けた佐賀県のプロジェクトが動き出した。県産の日本酒は純米酒を中心に国内外で評価が高く、認知度も高まっているが、一方で県産酒米は品質面で産地間のばらつきが大きく、蔵元の要求に十分応えきれていない現状がある。生産者と実需者が連携して最高峰の「山田錦」をはじめとする酒米の品質向上や産地の集約を進め、“佐賀の地酒は佐賀の米で造る”体制の確立を目指す。

 プロジェクトは県酒造組合やJAさが、県の研究機関や担当部署で組織する。5月22日に開かれた発足式では、山田錦の品質向上に向けて栽培技術指導の強化や安定供給可能な適地選定を進めるほか、県産酒米「さがの華」の有効な活用法、主食用米として流通する「さがびより」の酒造適性を調査することなどが確認された。約2年でプロジェクトの方向性をまとめる。

 県内の酒造好適米の作付面積(2017年度)は127・72ヘクタールで、うち山田錦は76・75ヘクタール。酒米は一般的に主食用米よりも高値で取引されるが、山田錦は倒伏しやすくて栽培が難しく、専門的な技術者も少ない。県によると、県内の蔵元の県産山田錦使用は約半分で、残りは主産地の兵庫県などから仕入れているという。

 会議では、兵庫県の特等米と比較した県内の酒米の品質や粒径の調査データが示され、課題が指摘された。酒造組合側からは「兵庫などはメーカーに対して相当強い売り込みをしている。このままでは年々佐賀県産を使う率は減る」「いいものを作って提供しないと競争には勝てない」といった厳しい意見も。水田フル活用が進む平たん部でも、酒米栽培用にほ場を固定すべきといった意見も出た。

 米の消費量は全国で年間約8万トンずつ減少。2018年産から米の生産調整が見直され、産地、品種間の競争激化も予想される。プロジェクト座長を務める県農産課の永渕和浩課長は「県内の需要には県内で応えることが生産者の所得にもつながる。そのためには実需者が求めている品質と量を確実に達成できないといけない」と強調。「生産者が誇りを持って出した米に蔵元が魂を込め、互いの評価が高まるウィンウィンの関係になれば」と話す

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