仏ボークール市の小学校を訪れた権藤千秋さん(手前中央の右)

 脊振山中に墜落したフランスの冒険飛行家アンドレ・ジャピー氏を救った旧脊振村の住民の姿を描いた児童向けノンフィクション『飛べ!赤い翼』の作者、権藤千秋さん(92)=佐賀市=が、神埼市と姉妹都市締結している仏ボークール市を訪れた。「(仏訪問は)最初で最後」と話す権藤さんは、地元の小学生らと交流を深めながら、ジャピー氏に思いをはせた。

 ジャピー氏は1936(昭和11)年11月19日、パリ-東京間の懸賞飛行に挑んでいる途中、強風にあおられて脊振山中に墜落。住民による懸命な救出で一命を取り留めた。

 この話に感動した権藤さんは約5年の歳月をかけて取材し1991年に出版。同書は両市の姉妹都市締結のきっかけの一つとなり、ボークール市の小学校では仏訳された副読本が利用されている。

 出版をきっかけに、権藤さんと現地の小学校の交流も生まれ、「いつかは訪ねたいと思っていた」という。4月29日に佐賀をたち、5日間滞在した。小学校で子どもたちと一緒に折り紙を折り、子どもたちからは「友情」の文字や日仏の国旗を描いたメッセージカードなどが贈られた。「みんな笑顔でかわいかった。言葉は通じなかったけれど心は通い合った」と笑顔で旅を振り返った。

 「1冊の本で両国をつなぎ、普遍の愛を伝えたかった」と権藤さん。本を見つめ、「佐賀のためになんて(大きなことは)思わないけれど、いい仕事をしたな」と目を潤ませた。

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