今年は明治維新150年。新聞を通じて地域の歴史を学ぶ「さが維新塾」。本紙記者による今回の出前授業は龍谷中(佐賀市)の旧2年A組です。(授業実施は3月15日)

吉松菜見子先生(後列中央)と旧2年A組の皆さん

 

伝染病対策、直正に学ぶ

【きょうの教材】コレラ大流行 

安政5(1858)年

「閑叟公からの手紙」2017年3月10日付より

長崎港に寄港したオランダ船に乗船し、船内の医師室を視察する鍋島直正や藩士たちを描いた「鍋島直正和蘭船乗込図」。テーブルの上にメスなど医療器具を並べている船内の薬品室も視察=公益財団法人鍋島報效会所蔵

 安政5(1858)年、長崎で発生したコレラが急速な勢いで広がり、佐賀藩内でも大流行した。藩主の鍋島直正は、藩医や町医者を総動員して防疫にあたらせるなど、危機管理に強いリーダーシップを発揮した。この年から3年にわたりはやったコレラでの死者は数万人から数十万人ともいわれている。佐賀藩内での死者数は不明だが、伊万里の富農が残した日記には、小城の一部農村だけで数百人の死者が出たと記されている。
 手紙によると、直正は藩医らに周辺の村々を巡回させ、町医者を指導して治療にあたらせた。佐賀藩はこの時期、天然痘予防のために、武士だけでなく庶民にまで幅広く種痘を行う制度を全国に先駆けて確立しており、コレラ対策でもその仕組みを活用したとみられる。

〈手紙の主な現代語訳〉
 2通のお手紙拝読しました。このところは秋冷が増してきているところですが、皆さん健やかにお過ごしのようで何よりです。さて御地(江戸)の気候はいかがでしょうか。佐賀では疫病が流行して大いに困っています。しかし城下の武家地や町人地ばかりで城内へは少しも入ってきていません。ところが皆は大いに怖がっています。蘭方にかかった者は一人も大事に至ることなく、大石良英・島田南嶺はこの大流行のため少しの暇もなく働いています。御地(江戸)も同様とのことで、さぞかし(恐ろしいこと)と思います。蘭方でなくては、漢方は何の役にも立たないものです。(以後省略)

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「伝染病の流行を防ぐにはどうするか」。記事「コレラ大流行」を読んで、各班で対策を話し合った=佐賀市の龍谷中

吉松菜見子先生 鍋島閑叟という人を知っていますか。佐賀藩の10代藩主直正のことです。直正が長女貢姫にあてた手紙が多く残っていて、佐賀新聞に「閑叟公からの手紙」という記事が連載されています。きょうの学習に関連し、記事を書いた藤生雄一郎記者に話をしてもらいます。
藤生雄一郎記者 直正が貢姫にあてた手紙は、公益財団法人鍋島報效会に200通ほど残っています。きょう教材にするのは「コレラ大流行」の記事です。幕末に佐賀藩でもコレラが大流行しました。コレラがどんな病気か調べた人はいますか。
生徒1 激しい下痢や吐き気を起こします。
生徒2 ひどい脱水症状になります。
藤生記者 そうですね。コレラはコレラ菌に感染して5日くらいから軽度の下痢や嘔吐が起き、重症になるとコメのとぎ汁のような大量の下痢が続きます。世界では今でも毎年300万~500万人がかかり、3万~13万人が死亡しています。

伝染病対策について話し合った結果を、各班の代表が発表した

 現代の治療法は、菌を殺す抗生物質の投与と水分補給となっています。過去、世界的に大流行した病気としては1918年から19年にかけて、世界中で4千万~5千万人が死亡したとされる、スペイン風邪というインフルエンザが有名です。
吉松先生 そこで、きょうは「もし自分が直正の立場なら、どんな対策を取るか」を考えます。各班で話し合ってください。(話し合いの後、代表が発表した)
生徒3 オランダなどの名医に来てもらい、治療や薬作りをしてもらう。
生徒4 治療のための地域を作り、そこでコレラ患者とそうでない人を分ける。医師を、治療する人と治療法を研究する人に分け、それぞれに専念させる。
生徒5 患者を問診し、病気になる直前の行動や食べたものなどを調べ、原因を突き止めて薬を作ったり治療法を考える。
生徒6 きれいな水を準備して患者への水分補給をきちんと行う。病気について領民らに説明し、不安を解消したり落ち着かせる。
生徒7 きちんと加熱したものを食べることなどを呼び掛ける。
藤生記者 伝染病対策で一番肝心なのは患者の隔離です。佐賀城への人の出入りを制限したり、長崎にいたポンペという医師に教えを請うなど、みんなの意見と同様なことを直正もしました。直正の医学上の功績としては天然痘予防のため種痘を普及させたこと、医師の免許制度を作ったこともあげられます。将来、みなさんがいろんな問題に出くわした時「自分が歴史上のこの人だったらどんな対応をするだろうか」と考えてみると、発想が広がると思います。
吉松先生 みなさんは18歳になったら選挙権を得ます。投票とは、国や地方の政治をどうするかを自分で考え、選択するということです。そのためには、歴史や過去の人たちに学ぶことも一つの方法だということを覚えておいてほしいと思います。


【授業を聞いて・みんなの感想】

中牟田青空さん コレラという言葉を知ったのは小学生の時で、漫画の登場人物がコレラで亡くなった。そのコレラが、佐賀でも過去にはやったということに驚いた。普段の授業で教わらないような地元の歴史を教えてもらい、興味深かった。また、医療関係の職を目指しているので、歴史から学んだことを将来生かしたいと思った。

福田舞さん 今回の出前授業で、鍋島直正が日本で初めて医師免許の仕組みを作ったことなどを知った。そして、佐賀にはすばらしい功績を残した人がたくさんいるのだと思った。偉人に共通してすばらしいのは、誰かのため、藩や国のために尽くしたということ。私も、困っている人や誰かのために尽くせる人になりたい。

【維新博 INFORMATION】

「維新スクエア」  ~博覧会の旬な情報、新しい文化の発信~

 おしゃれなカフェスペースで嬉野茶を楽しみながら、肥前さが幕末維新博覧会の旬な情報を入手することができる新しいスタイルの案内所「維新スクエア」が5月15日、JR佐賀駅のえきマチ1丁目西館にオープンしました。
 維新スクエアは、博覧会の基本的な情報や旬な情報を入手できるインフォメーションスポット、嬉野茶を飲みながら博覧会の話題で盛り上がるコミュニケーションスポット、そして嬉野茶を飲みながら歩いて会場に向かう「歩茶(ほちゃ)」のスタートスポット。
 「歩茶」とは、上質な嬉野茶をいつでもどこでも歩きながら楽しむ新しいスタイルの嬉野茶のたしなみ方です。煎茶や釜炒(い)り茶、ウーロン茶など豊富なメニューを取りそろえ、歩茶用のテークアウトのカップティーはもちろん、茶葉も販売しています。ぜひ「歩茶」しながら博覧会をお楽しみください。

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