有田陶器市で掘り出し物を探す焼き物ファン。期間中、124万人の人出でにぎわった=西松浦郡有田町

 4月の佐賀県内経済は、好天に恵まれて観光関連が好調だった。インバウンド(訪日外国人)需要が押し上げて、旅館の宿泊者が増加した。緩やかな景気の回復基調が続き、大型店の売り上げもまずまずだった。

 旅館は、会員制交流サイトを通じて韓国や香港からの予約が増えた。唐津やきもん祭りや有田陶器市などのイベントが国内客を引きつけた。週末の雨によるキャンセルはあったものの、ゴルフ場の予約も堅調だった。一方で、バス・タクシーの利用は伸び悩んだ。

 大型店は、全体の売り上げが前年を下回る店はなかった。天候不順で野菜が値上がりした前年の反動はあったものの、食品の売り上げが堅調だった。4Kテレビや自転車、宝飾品も売れた。夏物衣料は気温の寒暖差が激しく、店によって明暗が分かれた。

 機械・電機は自動車・食品関連が押し上げ、建設は九州新幹線長崎ルート関連の受注により好調だった。一方、陶磁器は、組合敷地内にレストランを開業した1組合を除き、前年割れになるなど厳しさが続く。業務用食器の販路開拓が求められている。

■大型店食品など堅調

商況

 ◇…大型店…◇

 売上高、来店客数ともに前年実績を超えた。好天で、衣料品が婦人、紳士、子どももよく動いた。サンダルや化粧品、アクセサリーに加え、宝飾品も外商を中心に伸びた。食品も好調だが、寝具などのリビング関連が伸び悩んだ。

 (小笠原浩幸・佐賀玉屋営業企画部長)

 全体の売り上げは前年並み。食料品は特売日に実施する野菜のばら売りが好評で、前年をやや上回った。前年より気温が高かった4月前半は初夏向けの婦人服が好調だったが、後半にかけて失速。紳士・子ども服とともに、前年の数字に若干届かなかった。新入学シーズンに合わせて自転車が好調だった。

 (森雅信・イオン佐賀大和店店長)

 4月の売り上げは前年並み。売り上げの構成比の多くを占める青果は、キャベツやレタスなど主要野菜が前年より2割ほど安く、売り上げ確保に苦戦した。生鮮食品は前年をやや上回った。4月から始めた売り場での旬の食材を使った献立提案の効果とみている。

 (宮崎祐輔・スーパーモリナガ店舗運営部マネジャー)

 ◇…電化製品…◇

 売り上げと客単価は前年を超えた。価格を示したリフォーム事業が堅調。テレビは買い替え需要が続き、有機ELや4Kテレビが選ばれた。4月は入学・入園シーズンでカメラも好調だった。

 (池上英治・エディオン佐賀本店店長)

■旅館ネット予約増加傾向

レジャー・サービス

 ◇…旅館…◇ 

 好天に恵まれ、宿泊客数は平年並みを確保した。インバウンド効果でインターネット予約が上昇傾向。韓国からが圧倒的に多いが、最近は香港も増えている。SNSを通じて訪れる人が多いようだ。これからの季節は浴衣を着ての街歩きなどに取り組んでいく。(下田高嘉・嬉野温泉旅館組合理事長)

 宿泊客数は、インバウンドの効果が続いており、前年同月をわずかに上回った。外国人客向けのメニューや、Wi-Fiの設置を増やしている。大型連休では、やきもん祭りが観光客をけん引、宿泊客も増えた。6月からは宿泊客を対象に焼き物の絵付けや、マリンスポーツの体験プログラムを実施する予定。

 (松下隆義・唐津市旅館協同組合理事長)

 ◇…ゴルフ…◇

 好天が続き、予約が堅調に推移、来場者は前年を超えた。ただ、昔よりも雨でのキャンセルが増えている傾向がある。

 コンペの予約は順調で、5月の予約も上積みできている。県アマチュア選手権予選を前に、練習場やコースへ足を運ぶゴルファーが増えることを期待したい。

 (毛利雄治・九州ゴルフ連盟支配人部会佐賀県代表幹事)

■新幹線工事全体押し上げ

建設

 ◇…建設…◇

 県内の公共工事の請負金額は前年同月比46・5%増の184億3500万円、件数も同9・3%増の176件だった。独立行政法人発注の九州新幹線長崎ルート関連の工事が全体を押し上げた。補正予算に伴う工事の全体的な増加も追い風だった。ただ、市町は目立った工事が少なくマイナスで推移した。

 3月の住宅着工は25・4%減の314戸だった。

 (中島博文・県建設業協会専務理事)

 ◇…不動産…◇

 県内全体では前年に比べて取引がやや落ち着いてきた印象がある。佐賀地区は1千万円台前半の中古住宅に動きがあるが、価格が高くなると動きが鈍る傾向にある。鳥栖三神地区は新築住宅や中古マンションの取引が前月比ではマイナスで推移している。杵藤地区は低価格物件への需要はあるが、物件の数が足りていない。伊万里地区は建て売り住宅に動きが出てきたが、分譲地がだぶついてきた印象。唐津地区は新築や中古住宅などの成約件数が伸びている。

 賃貸は入学などに伴う引っ越し需要が3月末で終わり、徐々に収束してきたようだ。地区別では鳥栖市の件数が大幅に減少している。また、佐賀市では飲食店が新規出店や移転で店舗を探す動きがある。

 (山口英則・県宅地建物取引業協会地域振興委員長)

窯業・土石

 ◇…陶磁器…◇

 前年比7・86%減。売り上げの全体的な底上げが望めない中、大手外食チェーン店の得意先を持つ商業者の業績により、1桁台の落ち込みでとどまった。熟練労働者など人手不足による需要の取りこぼしが潜在的にあるのではないかとの懸念がある。じわじわと上がり続けている燃料用ガスの価格動向も気になる。

 (百武龍太郎・県陶磁器工業協同組合専務理事)

 前年比7・29%減。需要の停滞が続く中、大きな取引物件はなかったが、各社の強みである定番商品は一定の数字をつくれたようだ。自社の方向性を見極め、取引先のイメージに合う商品企画、提案などが必要であり、さらに細かな営業努力に期待したい。今後を見据えた場合、原油価格が上がっているのが懸念される。

 (藤雅友・肥前陶磁器商工協同組合専務理事)

 小売りは振るわなかったが、卸が踏ん張り、0・58%増。雰囲気が良くない中、新しい取引先が増えたところもあり、前年並みをキープできた。4月18日に敷地内にオープンしたホテルのレストランが集客に貢献している。これを起爆剤に認知度を上げ、新しい取引先の開拓につなげていきたい。

 (原口秀夫・有田焼卸団地協同組合専務理事)

 ◇…陶土…◇

 前年比4・3%減。ここ数カ月は7、8%ほどの落ち込みが続いている。全体的に動きが悪い中、何とかその半分程度で収まった。本来は陶器市前で動きがある月だが、近年は後半の需要が減ってきていることなどが影響して前年割れとなったようだ。前月比でも2・5%のマイナスとなった。

 (一ノ瀬秀治・肥前陶土工業共同組合主事)

石油

 ◇…石油…◇

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は前月より50銭安い148円だった。灯油(18リットル)は2円安い1636円。どちらも微減で推移したが、原油高を背景に価格の高止まりが続いている。

 3月のガソリン販売量は1・5%増、軽油が1・0%減で、いずれも小幅な動きだった。灯油は気候が暖かくなった影響で、需要が目減りして15・2%の減だった。

 (光武繁・県石油商業組合専務理事)

食料品

 ◇…茶…◇

 昨年よりも8日早く、新茶の出荷が始まったが、全体の売り上げは例年並み。生産量は例年に比べやや少ないが、品質はおおむね順調に来ている。二番茶など下級品は引き続き不足感が続いている。

 (小野原栄信・県茶商工業協同組合理事長)

 ◇…製麺…◇

 乾麺商戦がスタートした。気温が高くなってきたことで、そうめんや冷や麦、冷麺などの夏物商品が動き始めた。5月の連休に吉野ケ里歴史公園であった神埼そうめん祭りも盛況に終わり、多くの人に魅力を伝えることができた。4月は全体的に売り上げは前年並みだった。人口が減少していく中で、乾麺というシンプルな材料をいかにおいしく食べてもらうかを考え、メニュー提案や商品開発にも力を入れていきたい。

 (古賀義治・県製粉製麺事業協同組合理事長)

運輸

 ◇…バス・タクシー…◇

 年度初めで利用増が期待されたが、全体的に伸びなかった。乗り合いバスの運送収入は前年同月比0・5%減。高速バスは輸送人員は4・0%増で、運送収入は3・8%減だった。貸し切りバスは、県外や国外からの団体ツアー利用減が続き、運送収入は13・0%減で推移した。タクシーの運送収入は5・1%減だった。

 (江上康男・県バス・タクシー協会専務理事)

紙・印刷

  ◇…印刷…◇

 全体の売り上げは前年並みだった。チラシやパッケージはほぼ横ばいだったが、ダイレクトメール(DM)の受注が減っている。スマートフォン普及の影響が色濃く出ており、母の日に関しても同様の傾向だ。サッカー・ロシアW杯が近づいているが、特需があったとは聞かない。開催中のさが幕末維新博の需要に期待したい。

 (平川直樹・県印刷工業組合理事長)

機械・電機

  ◇…機械・電機…◇

 年度末からの繰り越しで忙しく過ごした企業が多かった。特に自動車や食品設備製造などが好調を維持しているようだ。激しかった寒暖の差が生産にも影響を与えた。官公庁からの受注も堅調に推移している。人手不足が続いて、退職者を再雇用して業務をする企業が増えている。

 (中村敏郎・県工業連合会会長)

ICT

 ◇…ICT…◇

 年度末の納入が終わり、4月に稼働するシステムのフォローに入る時期。景気回復の兆しが見られ、前年に比べ取扱件数が増えているようだ。営業に力を入れる時期でもあり、働き方改革に関連したIT導入を提案する組合員が多い。提案に対し、取引先も前向きな反応を示しているようだ。

 (森木武・県ソフトウェア協同組合理事)

木製品

 ◇…家具…◇

 4月は新生活需要が落ち着く時期。全国的に家具の消費は微減だが、売り上げは前年並みを確保できた。メーカーの場合、直接販売やインターネット販売で販路を広げているようだ。資材がじわりと値上がりしている。ベニヤ板は前年比5%増で、利益確保が難しくなっている。

 (平田尚士・諸富家具振興協同組合副理事長)

 ◇…建具…◇

 組合の資材共同購入額は前年比で31・4%減。前年は年度末の工事が延長し、購入額が高かった。今回はその反動減とみている。購入額自体は通常の範囲内。運送費の値上がりなどで、資材価格が前年比で2割増。業界内での厳しい価格競争を背景に、利益の確保が難しくなりそうだ。

 (石井敏明・県木工業協同組合理事長)

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