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 ホタルが飛び交うこの時季、水辺のハナショウブも見頃を迎えます。昨年度の佐賀市景観賞を受賞した「花しょうぶの咲く新村川」(開成6丁目)の約350メートルの川辺にも花が咲きそろいました。

 20年ほど前、当時の自治会長だった田中久三さんが花苗を購入して植えたのが始まりでした。毎年の川掃除は町区を挙げて行いますが、暇に任せたボランティアという森川研司さんは、毎日長靴を履き川に入って株元の除草や花殻摘みをしています。せっかくやるなら楽しく、人にも見て楽しんでもらえるようにと、4、5月に花をつけるシソ科のジュウニヒトエや初秋に楽しめるコスモスも植えています。

 佐賀河川歴史研究家でもある森川さんが、この川を大切に思う理由がもう一つあります。それは成富兵庫茂安が、水路を立体交差させる工事をいかに短期間で事故なく完遂できるかの土木技術訓練を兼ね、多布施川の後毛井樋から取水して造成したという歴史的意義を持っているからです。

 森川さんに案内された場所は2カ所で、よく見ると確かに南北に流れる水路の上を新村川が立体交差して東西に流れています。これは、元々あった水路を深く掘りその上に石を渡して縦横に水を流すということです。ここで培った石材暗渠(あんきょ)の施工技術は佐賀城下建設に生かされ現在に至っています。

 400年以上の歴史を刻んできた川をいとしみ、もっと人々に愛される川にしたいとの思いが景観賞につながりました。咲きそろったハナショウブと匠(たくみ)の残した遺構を見に足を運んでみてはいかがでしょう。(地域リポーター・川原理子=佐賀市)

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