国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡る訴訟の和解協議が28日、福岡高裁(西井和徒裁判長)であり、次回の日程が指定されず、決裂した。潮受け堤防の排水門の開門を求める漁業者側弁護団は、開門しないことを前提とした和解勧告を拒否して参加しておらず、国が解決策として示した100億円の漁業振興の基金案は全く議論されずに打ち切りとなった。高裁は7月30日に判決を言い渡す。

 
 訴訟は、開門を命じた2010年の福岡高裁の確定判決を履行しない国が、勝訴した漁業者に対する制裁金(間接強制金)の支払いを強制しないよう「請求異議」の訴えを起こしている。漁業者側弁護団によると、高裁は漁業者側に不利な判決になることを示唆しているという。国の主張が認められると制裁金の支払いを免れ、確定判決は事実上無効化する。


 和解協議は非公開で行われ、国側によると、高裁は「現状において次回を設定するのは困難」との認識を示したという。佐賀など有明海沿岸3県の漁業団体が表明した和解協議継続の要望を受け、高裁は22日に2回目の勧告を出して弁護団に和解の受け入れを検討するよう求めた。弁護団は、開門しない前提を維持する内容に反発していた。

 農林水産省の横井績農地資源課長は「高裁の判断や漁業団体の決断がある中で、和解に至れる状況にないのは非常に残念」と話した。弁護団の馬奈木昭雄団長は「和解勧告は開門しないで国の案をのめという強制にほかならない。開門も基金も議論して公平な判断が示されれば和解協議はまとまる」と指摘した。

 和解協議は2月26日に訴訟が結審した直後から開始。今回まで計4回行われたが、弁護団は和解勧告の方向性が示された2回目以降は欠席していた。訴訟で国側が勝訴した場合、14年6月から始まった制裁金の支払いが止まる見通し。国はこれまで漁業者側に11億4840万円を支払っている。

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