アルバムとしては6年ぶりとなる新作「強烈なハッピーエンド」を引っ提げ27日、佐賀市でライブを開くシンガー・ソングライター大森洋平。本番を前に、アルバム発表やライブ開催に至る経緯や、ミュージシャンとして現在の思いを聞いた。

運命のよう

 

6年ぶりのアルバム。どんな経緯だったのか。
 大森  6年の間にシングルは出しているが、長かった。その分、がっつり思いを込めた。20周年を迎えた2年前、熊本地震のチャリティーライブでサウンドプロデューサーの上田ケンジさん(ウエケン)と再会したのが今回のアルバムにつながった。新曲を聞かせたら「どうやって出す気だ。すごく良い曲だし、歌も良くなってる。もう一回行くぞ」と
言われて。それが始まりだった。
 10代でデビューした時は「究極まで多くの人に聴いてもらいたい」と思ってやっていたが、長年やる間に、男一人生きていく程度の道筋は作れた感覚になって、いったんそんな思いから離れた。でも「何か違う。何のために歌を歌い始めたのか」と再び考え始めた時の、ウエケンさんとの再会だった。
 運命のようにいろいろな事が重なり合った。参加しているミュージシャンも20年の間に一流になっていたが、気持ちよく力を貸してくれた。家族もできたし、スタッフも、佐賀の仲間の力があってできあがった作品。

 

「勝負したい」作品

今までのアルバムとは思い入れが違う。
 大森  責任感もあるし、楽曲としていいものができた。仲間たちとの再会も含めて曲に投影できた。「これは多くの人に聞いてもらわなければいけない」ともう一度思ったし、「これだったら勝負したい」とも思える作品だと感じている。
制作が決まって書き下ろした曲もある。
 大森  「強烈なハッピーエンド」も「夜明け前~ケモノ達の歌~」もそう。でもライブがとにかく多いので、レコーディングする頃にはこなれている。たくさん歌っているメリットでもある。
2年間というと、アルバムの制作期間としてはしっかりある。
 大森  メンバーがすごいので、スケジュールを合わせるだけで大変だった事もある。実際のレコーディング期間は1週間くらい。

 

心に効く曲 

アルバムで特に押していきたい部分は。
 大森  「バイバイBabyまたさよならだ」は、MVも最初に撮ったし、悲しい歌だけれど始まりの歌でもある。曲順も、今までに「さよなら」して、ここから「強烈なハッピーエンド」を目指していく再生の物語、という風に自然となった。
 聴いてくれる人も日々いろんな事があるだろうが、薬みたいに心に効く曲が入っていると思う。これだけのミュージシャンが思いを込めてやってくれたので、アレンジや楽器一つ一つとっても楽しめる作品。

 

外を向いて 

 

年間100本のライブは今も続けているのか。
 大森  60とか70とか、それに近い本数は毎年やっていると思う。始めたのは事務所を離れてからなので、12年くらい前。

そういう活動の中で作風に変化はあったか。
 大森  10代でデビューして、10年間は事務所があり、マネージャーがいる状況だった。事務所を離れて、チラシの作り方すら分からずどうしようかと思ったけど、歌を歌うしかない。自主制作でライブ盤も作ったし、次の年には初めて在庫も抱えた。これはいかんと、全国のイベンターや仲間に連絡して回り始めた。
 音楽業界の人だけでなく、一般の職業の人たちに直接会い、コミュニケーションをとるようになった。そこから外を向いて歌うようになった感覚。どんな人が聞いているのか、直接、初めて知ったのはその旅に出てからだった。
 自分で手売りして、お金をもらって、サインを書いて握手して。そういう中でどんな人が自分の曲を聴いているのか、自分の音楽がどんな風にその人の役に立っているのかを知った。それは旅のおかげだった。

 

違うステージへ

 大森  でも、そういう生活にも慣れてきてしまう。そのサイクルにも慣れてきてしまう。どうしようかと思っていた時に、仲間との再会があり、家族もできた。アルバムを作る過程でいろんな人に助けてもらい、お金もかかっている。要するに、初めてちゃんとリスクを背負った。だから強い思いがある。かといって悲壮感でやっているわけじゃなく、今が一番楽しい。
 10代でデビューした時は、漠然と「光を見たい」と思っていたが、今は具体的に、はっきりと「もう一度多くの人の前で歌いたい」と思う。それはきっと、こういう再会によるものだと思う。今もう一度、違うステージに入った気がしている。

 

光を目指す

そんな今回のアルバムを一言で言うと。
 大森  毎回アルバムは「始まりだな」と思うが、今回はそれに輪をかけて、光を目指す再生の物語というか。もう一回純粋に「売れたい」と思った。
アルバムの中にも「光になりたい」という曲もある。
 大森  身近な人にとっての光でもあり、仲間がずっと「お前は行くべきだ」と言ってくれていた場所という意味でもそう。「そこに自分が立たなければならないんだろう」と意識したという意味でも、新たなスタート。
 20年越しの新人みたいな気持ちだ。10代の頃は自信満々で、余裕だと思っていた。今はもっと具体的に夢を見ている気がする。

 

MCに佐賀弁も

 

そのアルバムを引っ提げてのツアーだが、佐賀でのライブへの思いは。
 大森  レコーディングメンバーで来るので最高のライブになる。僕が知っている佐賀の人たちは面白くて居心地がいい。初めて来た時、「RAG―G」に200人近く集まってくれていて、ピアノとのアコースティックだったのに、フルバンドのロックコンサートみたいな盛り上がりになっていて、どうなってんだと思った(笑)。そんなイメージで、すごく好きな町。いつも来るのが楽しみ。
 佐賀弁もだいぶ分かるようになってきたから、ちょいちょい入れていこうかと思う。昔はライブ中、全然しゃべらない男だったが、最近はしゃべるのを抑えないと長くなってしまう。だからMC少なめで頑張りたい。メンバーからもクレームが来そうなので(笑)。

◆ ◆ ◆

 ライブは前売り4500円、当日500円増(要ワンドリンクオーダー)。問い合わせはRAG-G、電話0952(26)2687。

【インタビュー動画】

 

 

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