来場者に手仕事を説明する紙漉思考室の前田崇治さん=唐津市北波多の草伝社

 唐津市七山に和紙工房を構える前田崇治さん(39)の展示会が23日、同市北波多の古民家ギャラリー草伝社で始まった。「何かを作る人に素材を提供するのが仕事」とし、店舗の壁紙や商品のパッケージなどの注文に応じて紙を作っている。その一端と、地元で初のお披露目とあって原料や道具も並べている。27日まで。

 前田さんは同市和多田出身で、大学の卒業制作で和紙に写真を転写する作品に挑戦し、和紙に興味を持った。全国の産地を訪ね歩き、土佐和紙に出会った。「植物からこんなきれいなものができるのか」と本物に触れ、高知県いの町で4年近く修業。2007年から七山に工房を構え、使う人の気持ちを考えたいと「紙漉(かみすき)思考室」を屋号にしている。

 その昔、唐津が紙の一大産地であったと高知で聞いて驚いた。原料には高知産や輸入品のほか、周囲に自生するコウゾも使い、かつての隆盛に思いをはせる。以前、紙漉きを趣味としていた父・五男さん(69)が地元の人から譲り受けたという昭和初期の道具も修理して使っている。

 同ギャラリーでは焼き物以外で初の作品展で、店主の原和志さん(47)が「技術が高いのに、地元で知られていない」と依頼していた。前田さんは「和紙は決して必要なものではないけれど、必要とされるものを作っていきたい」と話している。販売品もある。26日午後3時からトークイベントを開く。

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