国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡る訴訟の和解協議で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は22日、2回目の和解勧告を出した。佐賀など3県の漁業団体が文書で表明した要望を踏まえ、開門しない前提を維持しつつ、国に漁業振興の100億円の基金創設案の実現や、有明海の環境変化を究明する調査と再生に向けた取り組みの継続などを求めた。協議に参加していない開門派の弁護団には「漁業団体の決断を十分考慮した上で和解の受け入れを検討するよう勧告する」とした。

 漁業団体の要望を踏まえ、訴訟当事者双方に一層の折り合いを求めている。

 勧告では、3県の漁業団体が示した和解協議の継続を求める文書の内容などから、国が示す基金案を受け入れていることを指摘した。一方、基金や漁業団体が求める堤防内の調整池の排水対策などは、国が和解の成立を前提にしているため「成立しない場合は実現する見込みがあるとはいえない」との見解を示した。

 その上で、開門関連の一連の裁判は訴訟当事者の漁業者51人だけでなく、有明海沿岸の漁業者らに影響を及ぼすとして「漁業団体は有明海再生に重大な利害関係を持ち、重要な役割を担っている」と強調した。漁業者の高齢化や減少の問題も挙げて「基金などをもとに地道に着実に有明海再生を図る現実的な選択をせざるを得なかった漁業団体の決断は重い」とした。

 開門を命じた確定判決を履行しない国に課されて支払われてきた10億円以上の制裁金の調整を図ることも求めている。

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