田中藤八さんの碑文

 「水清らかにして滔々(とうとう)と低きを流れ、万物を潤し、繁栄せしむるなり」

 有田川が伊万里市に流れ入る二里町中里。平成5年、大井手井堰(いせき)が大規模に改修され、記念碑群が建立されました。井堰とは河川の灌漑(かんがい)施設で、洪水時には濁流緩和の役割も果たします。

 五月に井堰西岸の記念碑を訪れると、地域の方がきれいに掃除なさっていました。植栽のツツジが美しく咲きそろっています。

 冒頭の田中藤八さんの碑文は、首長濡筆の大きな石碑や移設の水神井手神古祠の傍らにあります。

 藤八さんは中里生まれ、生涯農業に従事して地区の役職を歴任し、井堰の改修に尽力されました。

 ご子息英明さんによると、改修記念碑の建立時、ぜひ藤八さんの碑も加えたいという声があり、それに応えられたそうです。

 碑文の筆を執って程なく、藤八さんは87歳で天寿を全うされました。ご自身はついに、完成した碑(いしぶみ)を見ることはありませんでした。

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