ホウレンソウの下葉取りなどに取り組む福祉事業所の利用者ら=佐賀市富士町

 佐賀市富士町に4月、県内初のホウレンソウの共同選果場が完成した。福祉事業所で働く障害者らが農業の担い手にもなる「農福連携」の拠点で、5戸の希望農家と、佐賀市内の二つの福祉事業所で本格始動する。昨年の試行では、「作業が丁寧」と一定の手応えを得た一方、賃金(工賃)の“適正額”などは手探りの段階。農業の担い手不足解消と福祉の賃金向上、やりがいづくりの両立の道筋を探る。

 昨年度は、富士町の農家の作業を請け負った佐賀市の就労継続支援A型事業所「Relife(リライフ)」が試行した。生産者からは「家族の入院があったが、出荷量が減少せず助かった」、事業所からは「生産者とのかかわりもあり、楽しく作業ができる」と互いにメリットがあることを確認し、取り組みの拡大に踏み切った。

 ホウレンソウ農家は1戸から5戸に、福祉事業所は「Relife」に加え、佐賀市の就労継続支援B型事業所「どんぐり村」が参入。知的障害などがある18~60歳までの利用者が担当する作業は、共同選果場に届いたホウレンソウの下草を除去や根のカット、「M」「L」のサイズごとの分別、袋詰め。ホウレンソウは「調整作業」と呼ばれる手作業が7割を占める。利用者が担うことで、生産者は水管理など他の作業に時間をあてることができる。

 どんぐり村の利用者で、農作業は初めてという城野すえみさん(65)=佐賀市大和町=は、「立ちっぱなしが少し大変だけど、楽しい」と笑顔を見せた。

 農福連携は全国でも模索が始まったばかり。今回の取り組みでも、JAさが富士町営農センター、県佐城農業改良普及センター、NPO法人佐賀中部障がい者ふくしネット、佐賀市障がい福祉課が情報交換を重ねる。作業効率を上げるための工夫や、福祉事業所の就労時間と生産者が来てほしい時間にずれがあるなど、複数の課題も見えてきた。

 JAさが富士町営農センターの無津呂利英さん(43)は「ひと束当たりの賃金設定としているが、現状では物差しがなく、高いか安いか、悩みもある。農業、福祉、どちらかの都合に合わせるのではなく、互いの実情に目を配りながら、新たなシステムづくりを模索していきたい」と話す。

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