麦わらの焼却率は年々減少しているが、依然として野焼きをしている地域も見られる=2017年5月、佐賀県内

 黄金色の美しい麦秋が広がる佐賀平野は、まもなく麦の収穫時期を迎える。収穫の際に発生する麦わらの焼却処分率は年々減少し、2017年産は県平均8・4%と初めて1割を下回った。1990年代には7割前後が焼却されていたが、県やJAが野焼きの自粛を呼びかけ、わらの水田へのすき込みなど適正処理を訴えてきたことが、農家に着実に浸透してきている。

 佐賀県は日本有数の麦作県。17年産の作付面積は、ビールや焼酎の原料となる二条大麦が1万700ヘクタールで全国1位、小麦も9640ヘクタールで北海道、福岡県に次いで全国3位となっている。

 麦秋後の野焼きは、かつて初夏の風物詩とされた。だが、煙による健康への影響や洗濯物への残り香など苦情は後を絶たず、過去には野焼きの火が農業者の衣服に燃え移って死亡事故も起きた。岩手県では昨年、煙で視界が妨げられて交通事故が発生し、2歳の女児が亡くなった。野焼きをしていた農業の男性は道路法違反の疑いで略式起訴され、罰金命令を受けている。

 県やJAなどは06年に対策会議を設置し、手作り看板や広報誌で野焼き防止を訴えてきた。有機物が豊富な麦わらを水田にすき込んで地力や生産力向上につなげるマニュアルを作成し、農家に配布。わらを焼却しても雑草や病害虫の抑制につながらないという実験結果も明らかにしている。

 昨年県内で発生した麦わら7万8717トンのうち、焼却されたのは8・4%の6611トン。一方、すき込みは6万3553トンで初めて8割を超えた。地道な取り組みの成果は現れているが、6市町で焼却率は依然10%を超えており、前年から1・9%改善した佐賀市(9・7%)も久保田町(31%)と川副町(22・5%)は高水準となっている。

 対策会議によると、田植えを前に農繁期の作業を減らそうと焼却するケースが多く、年配の農家を中心に「雑草や害虫が減る」との認識が根強いという。本年度は焼却率10%以上の地域を重点的に指導する方針。対策会議議長の馬場一昭JA佐賀中央会参事は「わら焼却が限りなくゼロに近づくよう、関係機関と連携を強化して取り組んでいきたい」と話す。

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