鋭くボールを打ち返す大谷桃子=神埼市の西九州大

「PEACE CUP」(広島)のシングルスで優勝した大谷桃子=2017年11月

 力のあるフォアハンドを武器に世界を転戦し、車いすテニス女子シングルスのランキングで国内2位、世界18位。競技歴2年ながらJWTA(日本車いすテニス協会)強化指定選手にも選ばれ、東京パラリンピックやグランドスラム出場を目標に日々練習に励む。

 スピードボールをコーナーに打ち込む攻撃的なプレーを得意とする。4月の国際大会・神戸オープンではシングルスで4強入りし、ダブルスで準優勝を飾った。順調に階段を上り、「東京パラの前にグランドスラムに出るのが理想」と最高峰の舞台も視野に入れる。

 2016年11月、全日本選抜マスターズに出場した。世界や国内ランク上位者のほか、JWTAから推薦された8人だけが出られる大会で、5月に競技を始めたばかりだったが、推薦枠を得た。3戦全勝で予選リーグを通過、準決勝をストレートで勝ち上がると、決勝はリオデジャネイロ・パラで銅メダルの上地結衣と戦った。優勝こそ逃したが、第1セットは5-7と大健闘を見せた。

 17年は豪州や英国、米国など7カ国を渡り歩き、国内も含めシングルス5大会、ダブルス2大会で優勝した。

 普段は県庭球場や西九州大などで週6回、1日2~3時間の練習を重ねている。コーチは担当の理学療法士を通じて出会った古賀雅博氏(43)=小城市。車いすテニス未経験の健常者で「障害者スポーツ専門の人に見てもらった方がいい」と言われたが、指導を懇願した。経験がなくて不安なのは自分も同じで「古賀コーチとなら一緒に成長できると思った」。互いに試行錯誤しながら世界を目指す道を選んだ。

 栃木県出身。車いす生活は3年前、スポーツトレーナーを目指して進んだ東京の専門学校入学後に始まった。右足がけいれんして次第に動かなくなり、右手の握力も弱まって左足もまひ。右手の握力は0・5キロほどだという。スポーツトレーナーを諦めて就職先を探したが、大卒以上が条件の会社が多く、父親の久さん(51)が当時仕事の都合で住んでいた佐賀で大学生活を始めた。

 一般のテニスは小3から高校まで続け、作新学院3年で全国総体個人ダブルスに出場した。ただ、結果は初戦敗退。選手として限界を感じていたが、いまや国際的に活躍するプレーヤーとなった。

 「できないことが増えたけど、世界に挑むチャンスをもらえた」。14日からは、グランドスラムに次ぐレベルの国際大会ジャパンオープン(福岡県飯塚市)に挑む。

 2年前に観戦して刺激を受け、本格的に競技を始めるきかっけとなった大会。「これからは私が力を与えられる選手になりたい」。世界への挑戦はまだ始まったばかりだ。

 ■おおたに・ももこ 22歳。栃木県栃木市出身。2016年に神埼市の西九州大に入学し、本格的に車いすテニスを始める。東京パラリンピックの強化指定選手。国内ランキング2位、世界ランキング18位。

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