国民健康保険(国保)の広域化が4月に始まった。佐賀県内の市町で、前年度よりも保険税率を引き上げたのは佐賀市や鳥栖市など7市町で、12市町は据え置き、有田町は引き下げた。従来の赤字体質の教訓から、県が示した標準保険税率に準じる市町がある一方で、加入者の急な負担増を避けようと、自前の基金の取り崩しなどを念頭に据え置いた自治体もあった。

 保険税率を引き上げたのは、佐賀市、鳥栖市、多久市、武雄市、小城市、大町町、白石町の7市町。いずれも標準保険税率が前年度の税率よりも高かった。

 納税時の利便性を高めるため100円未満を四捨五入する市町が多い中、鳥栖市は端数処理によるずれが発生しないように、1円単位で標準保険税率を反映させた。前年度末の累計赤字額が約12億円に上り、一般会計からの繰り入れや県の貸付金を利用せざるを得なかった反省を踏まえ、「標準保険税率を守れば赤字が発生しない」(鳥栖市国保年金課)という前提を重視した形だ。

 税率を据え置いたのは12市町で、唐津、伊万里、鹿島の3市は標準保険税率よりも高い。伊万里市税務課は「いったん下げても、医療費の伸びを考えれば毎年度引き上げるのが目に見えている」と説明し、余剰金を積み立てることで「おおむね4年は現行税率でいける」と試算する。

 基山、上峰、玄海、江北の4町は標準保険税率より低いが、引き上げを避けた。自前の基金の取り崩しなどで対応する。江北町は「医療費の減少が見込まれ、本年度は黒字が予想される」と語る。嬉野市、神埼市、吉野ヶ里町、みやき町、太良町は標準保険税率が前年度の税率と大差なかった。

 税率を引き下げた有田町の健康福祉課は「国の激変緩和措置の対象になったことに加え、17年度に新制度施行を見据えて税率を引き上げていた」と説明した。

 国保は自営業者や農林水産業の従事者、退職した高齢者らが加入する公的医療保険。低所得者の加入が多く、慢性的な赤字が課題で、財政運営を市町から県に移管する広域化で財政基盤を強化した。

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