これからの佐賀について参加者と意見交換する山口祥義知事(中央)=佐賀県庁

 藩校しようぜ-。昨年10月から始まった「弘道館2」。昨年度の最終講義となった5時間目は3月下旬、佐賀県庁で開かれた。講師を務めたのは、佐賀県の山口祥義知事。幕末に弘道館で実施されていた「会読(かいどく)」をテーマに、県内の高校生や大学生、社会人など24人が参加し、人気漫画「キングダム」や知事手製の教科書をもとに佐賀県の現状や将来について熱く意見を交わした。

 

【動画】

 

 =弘道館2とは=

 「弘道館2」は、幕末佐賀の藩校・弘道館をイメージし再現した県の人材育成事業。佐賀県内の若者を対象に、さまざまな分野の最先端で活躍する県内ゆかりの講師を招いて学ぶ。コーディネーターは電通の倉成英俊さん。
 本年度の1時間目は6月9日、佐賀市のファミリーレストランで佐賀市出身のイラストレーター326さんを講師に迎えて開く。申込みや問い合わせは事務局、0952(40)8820。

 

【会読】佐賀から世界へ

コーディネーターの倉成英俊さん

 会読は人気漫画「キングダム」(作者・原泰久=基山町出身)の好きな場面などを教え合う1部と、山口知事と「佐賀」を語り合う2部で開かれた。佐賀県は、外国人宿泊数が増加し「インスタ映え」する場所に県外から多くの人が訪れる一方で、県内の人は福岡県の天神や大型商業施設に集まると、山口知事が現状を説明。参加者は佐賀について「無礼講」で熱く議論した。


●山口知事(以下、山口) どうすれば(既存の)佐賀の本物を光らせることができるか。そのためには、これからの50年後をどう考えるのか。

 

●倉 成 合理的で便利なものがよいのか、面倒臭くても佐賀らしいものがいいのか。今後、私たちは何に力を入れていくべきなのかを議論したい。
●参加者 佐賀は県外に理想を持つ。隣が福岡であることも影響が大きい。無意識に(都会への)気持ちが強くなるのではないか。
●参加者 外の人に語らせるのはどうか。口コミやSNSで流行しているものもあり、(県外の人への発信に)力を入れるといいのかな。
●参加者 何もないところが普通じゃない。地域的価値を伸ばそうと力を入れすぎるのも違うのかな。バランスが難しい。

●山 口 無理しないのは大事。
●参加者 自慢しないのは自信がないのかな。福岡は天神や博多とか大きいものがあるけど、佐賀は有田焼や唐津焼とかあるが、地域がばらばら。「これ!」と推すものがなく少数派だから、自信がなくて発信できないのでは。

 

●参加者 佐賀に自信がないのは、いいか悪いか判断基準がないからかも。日常の中の(魅力ある)ものを教えられていないのが課題。

●倉 成 他の県は教えられているのかな。
●参加者 (他県には)教えられていなくても絶対的な何かがある。(佐賀は)点在的にあってイメージが湧かない。
●参加者 偉人、焼き物、景色など渋めのものが多い。発信力があるのは若い子。(地域的価値を)保ちながら若い年代にも訴えられるものにしていけば、自信につながる。
●山 口 本当は駅前も佐賀らしいもので彩りたいが、(佐賀の人は)みんな欲しいものは「駐車場」という。そのギャップに悩んでいて、みんなで考えてもらいたい。

 

●倉 成 生活する立場と観光する立場と違うのかも。
●参加者 佐賀に住んでいると、(魅力あるものがそこに)あるのが当たり前すぎて天神に行くのでは。(都会の)いいところだけ見て憧れるのも分かるけど、佐賀のよさをもう一度見直すことが必要。
●参加者 地域的資源だけだと1回行けばいい。ある程度の便利さも必要で、交通の便がよくないから、アクセスのしやすい都会に流れていくのかな。
●山 口 それが佐賀県が神奈川県にならない理由か。神奈川県は東京の横にあるけど鎌倉や箱根があってそこにプライドがある。「住むなら佐賀」って思ってもらいたい。
●参加者 (佐賀には)未来が感じられない。仕事やチャンスがないと感じれば、若い人は外に出たいと思う。
●山 口 (いったん)出て行った時に佐賀のことを分かって旅立つかどうかで違う。(県外に出た佐賀の人が)30~40代になって(地元を)助けてくれるのはそのベースがあるからだと思う。
●倉 成 離れて過ごしてみて、県外の日本、海外の町を見て佐賀にしかない宝があると気づいた。当たり前のことに気づくには外から見ないと分からない。いったん(県外に)出るのは大事だと思った。

 

●山 口 大企業に入ることだけが幸せじゃない。自分で何をなすべきなのか、自分としていかに価値のある毎日を過ごすかが大事。
●参加者 これまでの意見は教育の面で解決できることが多い。子どもたちに佐賀の魅力を知ってもらうために教師が知る。佐賀の魅力を知って佐賀を離れた人が佐賀の魅力を伝えていくと、もっと盛り上がる県になるのでは。
●山 口 これからのヒントとして教育が重要で、どういう風に育てられるかが大事。(150年前に)佐賀藩は東京中心の日本を作ろうとしたけれども本当に直正公はそれをしたかったのかな。本当は佐賀は佐賀として強い国を作りたかったのでは。(今後は)東京に人を送らなくても佐賀の土地から物づくりをして、佐賀の土地から世界に向けてやっていくのが夢だ。


=ズーム= 会読
 多数の生徒で中国の儒教の教典「四書五経」などを読み、議論し合う読書会。
 内容の意味を理解した上で、当時の日本に置き換えるとどのような意味になるのかなどを議論。佐賀藩は他の藩とは違い、佐賀藩10代藩主の鍋島直正も参加して、身分も関係なく議論していたとされる。

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