独自のアイデアや気づきで職場の業務改善につなげた個人やグループを表彰する文部科学省の「創意工夫功労者賞」に、本年度は佐賀県内から4社8人が選ばれた。生産性向上や治具考案などそれぞれの取り組みを紹介する。

 

 ■小糸九州 田中、髙並、御厨、川崎さん

各分野で生産性向上

自社製品の自動車照明器を囲む、小糸九州の(左から)御厨恭平さん、田中孝典さん、川﨑優さん、髙並謙一さん=佐賀市

 自動車照明器製造・販売の小糸九州(佐賀市)では、4人がそれぞれの分野で業務改善や生産性向上に向けた取り組みを発案した。

 田中孝典さん(39)は、照明器用金型製作の仕上げ工程で、従来は手磨きでしていた作業に動力式の工具を導入して作業効率を上げた。作業時間を3分の1に短縮する効果があった。

 髙並謙一さん(37)は、照明レンズの塗装作業で取り付けに時間がかかっていた点に着目し、取り付けと取り外しを同時に行う治具を考案した。それまで1個当たり14・7秒かかっていた作業が4・6秒短縮されたという。

 御厨恭平さん(37)は、治具の運搬で形状ごとに複数台の運搬機を準備する必要があった課題に対し、運搬機に共通で装着できる治具を考案して能率をアップさせた。

 川崎優さん(31)は、照明器へのアルミ吹きつけの工程で時間がかかっている課題の解決に着手。ちょうつがいを使った治具を考案して1個当たりの作業を16秒短縮することに成功した。

 4人は「これからも現場の課題解決に向けて、アイデアを提案していきたい」と笑顔で意気込みを語った。

 

 ■キースン 田代さん

複雑な加工容易に

障害の有無に関わらず複雑な金属加工を可能にした手動式の機械を手にする田代さん=有田町のキーストン

 イカを釣るためのルアーを製造するキーストン(西松浦郡有田町、金川信栄社長)で、製造開発を担当する田代盛久さん(56)は、複雑な金属部品の加工を行う手動の機械の開発に取り組んできた。障害の有無に関わらず、誰にでも加工が可能で、県内10カ所の作業所に部品製造を依頼している。

 同社では形状の異なる多くの金属部品を製造している。ほかの工場に依頼すれば、高くつく上、少量の発注が難しい。そのため、田代さんは、部品の形に合わせて簡単に加工できる手動の機械を作ってきた。

 障害のある人たちには、機械を使う際の力の入れ具合が難しく、力を入れすぎて機械を壊すケースもあった。そのため、こまめに作業所を回り、問題点を改善している。

 長年、製造開発に携わってきた田代さんを、金川社長は「柔軟な発想を持っている」と評価。田代さんは「機械を最大限に使ってもらえるように、改善を続けていきたい」とにこやかに語った。

 

 

 ■武井電機工業 山崎、浦野さん

プログラム入力効率化

コンピューターのプログラム入力を効率化する基準をつくった浦野さん(左)と山崎さん=三養基郡みやき町の武井電機工業

 コンピューターのプログラム入力をもっと効率化できないか-。武井電機工業(三養基郡みやき町)の山崎徹朗さん(31)と浦野祐樹さん(35)はそんな現場の意見を集約し、入力する際の基準「標準プログラム」を設けた。プログラムの内容が作成者でなくとも簡単に把握できるようになり、不具合があった際の対応がスムーズになったという。

 これまではプログラマー約20人がそれぞれのやり方で入力していた。一からの作業のため、完成までに平均300時間かかっていた。「標準プログラム」は「基準」の修正で済むため、作業時間を40時間削減できたという。

 プログラムを入力したコンピューターは、さまざまな工場の生産ラインの制御に使われている。トラブルが発生した時はラインを止めなければならず「一刻も早く再開してほしいということがお客さんの願いだった」と浦野さん。今回の改善で、トラブルに対応する平均時間がこれまでの半分となる20時間に減った。

 生産ラインを試運転する時の手順書づくりも始めた。山崎さんは「効率的に確認し、仕事がさらに早く終わるようになれば家族サービスに充てる時間が増やせる」と意欲を見せる。

 

 ■西研グラフィックス  山村さん

輪転機折り機機械化

輪転機用折機部品の機械加工を改善した山村龍史さん=吉野ヶ里町の西研グラフィックス

 西研グラフィックス(神埼郡吉野ヶ里町)機械部係長の山村龍史さん(44)は、輪転機用折り機の部品加工の改善に努めた。従来は手仕上げだった作業を機械化することで、7・5時間の短縮につなげた。

 改善した折り機の部品は、輪転機で印刷した新聞紙などを二つ折りする折り機本体の末端に取り付けられている。同部品の側面はゆるやかにカーブしており、熟練技術者が紙ヤスリなどで加工していた。

 機械化に取り組んだきっかけは熟練技術者の退職。人手不足などで技術の伝承が課題だったという。山村さんは既存の加工機械に新たなプログラムを加えて、同部品の加工に取り組める体制を整えた。

 加工時に使用する設置台も、山村さん自ら図面を引いた。加工機械の振動による部品破損を防ぐため、部品固定に工夫を凝らした。失敗が減り、加工にかかる生産コストも削減した。

 山村さんは「機械に任せることで、他の工程に人手を回せるようになった。人口減少が叫ばれる中、さらに若手確保が難しくなる。効率化を見据えながら、誰もが取り組みやすい仕事が増えるように努めたい」と話した。

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