全国的にこども食堂が増えている一方で、「貧しい家庭の子どもが行く所」という印象を持つ人もいて、行きづらいとの課題も指摘されている。そんな中、地元有志が毎月1回開く鳥栖市本町の「ほんまち食堂」は、子どもからお年寄りまでが集う場になっていて、地域交流や子どもを見守る環境も生まれている。こんな新たなコミュニティーとしての“地域食堂”も広がれば、子どもたちも行きやすくならないか。

 「ほんまち食堂」は2016年5月、市中心部の住宅街にある本町会館で始まった。以来、毎月第3土曜日午前11時から2時間ほど“開店”する。

 開店24回目の4月21日。午前8時ごろ運営スタッフが集まってきた。地元の夫婦3組と友人女性3人。60~70代で、食堂を切り盛りしている夫婦、家庭菜園に汗する男性らさまざまだ。おしゃべりを楽しみながら毎回80人分の食事を作る。菜園の男性は材料となる野菜の収穫に前日から大忙し。一部は販売し、運営の足しにする。

 この日のメニューは、旬のたけのこの炊き込みご飯、豚汁、鶏の唐揚げ、ホウレンソウの白あえなど。近くの2つの菓子店からカステラとショートケーキ、さらに青果物店からリンゴの差し入れがあった。買ったのはこんにゃく、ニンジン、豚肉くらいだ。

 善意の提供に支えられて料金は格安。未就学児は無料、小中学生50円、60歳未満300円、60歳以上200円。同日の来店者は未就学児14人、小中学生23人、60歳未満23人、60歳以上17人の計77人。各世代に見事にばらけた。売り上げは1万2千円弱。何とか運転資金を確保できたという。

 幼児連れの母親2人は「子どもが隣のおじいさんからケーキをもらった」と楽しそうだ。子どもたちが地域の人と顔見知りになることで、日常的に声かけなどで見守ってもらえる効果も見込める。

 本紙4月11日付は佐賀市の公民館で月1回、小学生と高齢者を対象にした食堂が始まると伝えていた。鳥栖市では新たに6月から市役所がある宿(しゅく)町の公民館で「宿町食堂」がスタートする。

 地域に1人暮らしのお年寄りも多いことから「地域のきずなづくり」を目標とする地域食堂も増えている。一方で課題は資金繰りや食中毒へのリスク対応など。ぜひ行政のバックアップが欲しい。

 地域で定期的に開店し、利用者を限定しないようなコミュニティーとしての地域食堂ならば、だれでも参加しやすくないか。ほんまち食堂のケースでは、スタッフが運営を楽しんでいるのが良い。笑顔の運営だから、訪れた人たちも自然と笑顔になり心安らぐ。地域の温かさに包まれた地域食堂が増えていけば、子どもたちも足を向けやすくなる。(高井誠)

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