ボランティアの川原政子さん(左)と過ごす川野さん親子。「お疲れさま、の言葉に救われた」と川野さんは話す=佐賀市

 佐賀県佐賀市社会福祉協議会の子育て世代への訪問型支援「ホームスタート」が好評だ。子育ての経験があるボランティアが自宅を訪ね、家事や育児のサポートをする。育児サークルに参加することをためらい、こもりがちな母親にも支援の手を届け、利用者は100人を超えた。子育てに奮闘する親の心を支えている。

 ホームスタートの対象は未就学児がいる家庭で、利用料は無料。地域の子育て経験者が研修を受け、「ホームビジター」と呼ばれる訪問ボランティアを務める。話を聴いたり、家事や育児、外出を一緒にしたりする。利用は原則週1回約2時間、1クール2カ月で複数回の依頼もできる。最初に調整役の担当者が、当事者の望む支援を聞き取った上でビジターを派遣する。

 制度は2014年8月に始まった。母親に加え父親からの申し込みもあるなど少しずつ知られるようになり、利用者数は17年度末には105人になった。30~34歳の利用が最も多く、35~39歳、25~29歳と続く。

 佐賀市の会社員川野美香さん(32)は17年7~8月と今年1~3月に利用した。長男の正義君(1)を育てているが、「食事の支度を始めた途端にぐずったり、甘えてきたり。想像以上に、家事などやりたいことが思い通りに進まない」。そうした中で週1回、ビジターの川原政子さん(70)を交えて過ごす2時間は「気持を緩めることができる時間だった」と話す。

 仕事をしている時は当たり前だった「大人と話す時間」を持つことができ、湯船にゆっくり漬かることもできた。何より川原さんの「お疲れさま、頑張っているね」の言葉に、「救われたし、こみ上げるものがあった」と振り返る。

 利用者アンケートでは「孤立感の解消」や「親の心の安定」の項目でニーズが高かった。「自分が笑えるようになった。心が穏やかになった」という感想に加え、「もしダメなときは助けてくれる人がいる」など、いざというときの心理的な支えになったとの声が寄せられた。

 市社協でホームスタートを担当する野口洋子オーガナイザーは「何でも一人で抱え込み、頑張りすぎる母親は少なくない。ボランティアの方と学び続けながら、いろんな思いに耳を傾けていきたい」と話す。

 日本で支援事業を展開しているNPO法人「ホームスタート・ジャパン」によると、同様の活動は全国98地域に広がっているが、県内は佐賀市1カ所だけ。「市外からの問い合わせも寄せられている」(佐賀市社協)が、対応できるのは現在、市内に住む人に限られている。

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