記者会見を開き、和解協議の考え方を説明する(左から)上田浩次会長、徳永重昭組合長、西田晴征会長=福岡県柳川市

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門訴訟を巡り、佐賀、福岡、熊本3県の漁業団体は1日、有明海再生に向けた考え方を共同文書として発表した。福岡高裁が示した開門しないことを前提に漁業振興基金での解決を図る和解協議の継続を求める立場を明確にした。8日にも斎藤健農相に提出する。和解協議に応じない姿勢の漁業者側弁護団に再考を促す形となり、弁護団は反発を強めている。

 3県の漁業団体トップが福岡県柳川市内で会見を開いた。佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長は「3県が歩調を合わせることによって、今後の有明海再生に弾みがつけば」と述べた。

 共同文書は、3県団体の総意として「有明海の再生のためにはまずできることから少しずつでも歩を進めていくことが大切」と強調。開門調査を含む環境変化の原因を究明する必要性を訴えつつ、「再生の兆しがある」として和解実現への期待を示した。再生事業の継続や基金とは別枠の排水ポンプ増設など3点の要望も盛り込んでいる。

 漁業不振が続く県西南部地区からは、共同文書に対して不満もくすぶる。ある幹部は「不本意な結果。積極的に基金案に賛成ではなく、苦渋という言葉も入れてほしかった」と漏らす。佐賀としての意思統一を問われた徳永組合長は「福岡高裁から開門を前提としない和解勧告があったことは、皆さん承知されていると思う」と説明した。

 漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は取材に、「基金案などは訴訟とは別の場で検討して実行すればいい。和解を条件にする農水省の都合に応じて和解協議の継続を求めるのはおかしい」と指摘、「そもそも協議を拒んでいるのは開門することの議論さえしようとしない裁判所の方だ」と語気を強めた。

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