九州電力の山元春義取締役(左)から玄海原発3号機の蒸気漏れトラブルに関する最終報告書を受け取る佐賀県の副島良彦副知事。トラブル発生時の早めの情報提供を九電に要請した=4月17日、佐賀県庁

■玄海 蒸気漏れ、対象外で遅れ/伊方 異常すべて報告義務

 九州電力玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)で発生した2次系配管からの蒸気漏れから30日で1カ月。今回のトラブルでは、九電から関係自治体への情報伝達に時間がかかるという課題が改めて浮き彫りになった。首長らは早めの第一報の重要性を強調しており、住民の安全確保や不安解消につながるだけに改善が欠かせない。危機管理の専門家からは原子力安全協定の見直しを促す声もある。

 九電によると、運転員が当日午後7時ごろ蒸気漏れを確認し、10分後には補修部門に現場確認の指令が出ていた。

 しかし「系統(配管)からか、保温材にたまった水が蒸発したのか調べるのに時間がかかった」(山元春義取締役)ため、自治体などへの連絡を決めたのは約2時間後となる午後8時55分だった。

 その結果、県への報告は午後8時59分、玄海町が9時37分、唐津市9時41分となり、30キロ圏内に位置する県内自治体として最も遅く連絡が入った伊万里市は同10時9分と、異常確認から3時間が経過していた。

 自治体への連絡に関する取り決めは、立地自治体との間で結ぶ安全協定に基づく。協定では放射性物質の漏えいや機能を維持すべき施設に故障があった時の報告を求めており、今回の蒸気漏れは対象外となる。九電としては「自主的な報告」という位置付けだ。

 自治体から不満の声が上がる中、九電は報告書で「配管からの蒸気漏れだと発電所が判断した20時30分ごろの時点で、速やかに連絡を開始すべきだった」とし、今回は最速でも発生から1時間半後の連絡になるとの認識を示した。

 これに対し副島良彦副知事は「空振りでも結構なので、日頃と違う状況がある段階で、社内の情報共有と合わせて本県に連絡を」とさらに早い段階での通報を要請した。県側の強い姿勢に、九電の山元取締役は「何かあればすぐに知らせるよう改善する」と応じた。

 原子力防災に詳しい日本大学危機管理学部の福田充教授は「原発事故時の対応は時間との闘いで、2時間かかったというのは問題」と指摘。現在の原子力安全協定に防災、減災の観点が欠けているとし「平時の情報共有なども含まないと、危機発生時だけに意識が集中し、小さな事象は情報を出さないということにつながりかねない」と協定の在り方の見直しを提起する。

 伊方原発を抱える愛媛県は、原発異常時の通報連絡公表要領を定めており、「正常状態以外のすべての事態」の報告を四国電力に義務付ける。報告は重要度に応じてランク分けし、Aは報道機関と県ホームページに直ちに公表、Bは連絡後48時間以内、Cは毎月10日に前月分を発表する。

 昨年11月に電源車の試験中、発電機が起動しないトラブルがあった際も、最も低いC区分だったが、発生から38分後には四国電力から報告があった。愛媛県原子力安全対策課は「どんな異常も報告してもらうようにしているので、報告すべき案件か判断している間に遅れるということはない」としている。

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