県庁前の掲示板に張り出された県の文書。従来元号のみだった年表記に、西暦が並記されている=佐賀県庁

■民間 特需は限定的

 天皇陛下の退位と皇太子さまの即位に伴う、新しい元号の施行まであと1年。来年5月の施行を前に、佐賀県は新元号に対応するためのシステム改修を進めるとともに、本年度からは県民に直接関わる公文書を中心に西暦を並記するよう改めた。県だけでも1億円を超えるシステム改修費用が生じ、「改元特需」も見込まれるが、関係業界は「昭和から平成の時ほどではない」と冷静に受け止める。 

 県情報課によると、本年度の当初予算に、新元号対応のシステム改修費約1億3200万円を計上した。県庁内部の事務システムのほか、教育関係や運転免許証など32のシステムが該当するという。情報課は「いずれも元号表記が使われており、幅広く対応する必要がある」と説明する。

 県は公文書の年表記を元号のみで記していたが、本年度から通知や督促など県民宛ての「往復文書」と、県が出す許認可などの「令達文書」を対象に、文書がいつ出されたかや許認可の期間で西暦を並記し始めた。県法務私学課は「新しい元号は施行以降でないと使えない。期間を表すときに『平成35年』などとあり得ない表記になる」と語る。

 対応を迫られているのは民間も同様だ。「和暦を使ってきた歴史があり、各部署で対応を協議していく」と語るのが佐賀銀行(佐賀市)。銀行内部で使うシステム、融資の申込書などで元号が使われており「西暦が意外と少なく、改元の対応にこれから追われそうだ」とみている。

 一方で、印刷業界は冷静だ。県印刷工業組合の平川直樹理事長は「IT技術の普及により、平成表記の手書き領収書が激減した。西暦を採用している企業も増えており、昭和から平成に代わる時ほどの特需はない」。カレンダーや手帳に和暦が使われるが「佐賀に専門業者はなく、対応を迫られるというほどではないと思う」と語る。

 システムの更新作業を担う企業は、着々と準備や対応を進めている。県ソフトウェア協同組合の菰田秀三理事長は「平成になった時のノウハウがある。今回は改元時期が決まっているため計画が立てやすい。スムーズな対応に努めたい」と話す。

 ただ、「業務効率化を背景にシステムが複雑になっている」(菰田理事長)という懸念も。給与振り込みシステムなど他企業とデータを共有する企業が多く、双方での作動確認に時間を要するという。企業の独自システム以外は、無償の「サービス対応」になるため、特需による波及効果は限定的とみる。(取材班)

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