野村昭嘉「AmosuNorle」(1990年、アクリル絵具・板、91.5×115センチ、佐賀県立美術館蔵)

 26歳の若さで世を去った野村昭嘉(1964~1991年)。新進気鋭のイラストレーター、画家として画壇から注目されていた。古い空想科学小説のようなロマンと郷愁にあふれた作品は、今も新しさと古さを内包する。

 佐賀市諸富町生まれ。佐賀北高を卒業し、立川美術学院や東京芸術専門学校などで絵を学んだ。板にアクリル絵具で描き、意図的に傷つけ欠けさせるなどして古い壁画のような風合いを出している。第5回コンテンポラリーアートエキスポ東京で金賞を受賞。将来を嘱望されたが、東京都内のアパートで、工事現場の事故で倒壊したクレーンの下敷きになり亡くなった。

 「AmosuNorle」は、アナグラムや文字遊びを好んだ野村らしいタイトル。配管など無機質なモチーフと人物や波の図柄が組み合わされ、独自のイメージが表現されている。

 展示されている5作品(88~90年)を見れば、構造の複雑化など作風の推移が見て取れる。生きていれば53歳。世界観の広がりを予感させる作品群で、作家の才能が惜しまれる。

 

 ※温故維新展は佐賀市の県立博物館・美術館で5月13日まで(月曜も開館)。観覧料は一般・大学生500円、高校生以下、障害手帳を持つ人と介助者1人は無料。

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